第164話

泣いた立浪

〜みんなの感動を台無しにする昔話〜




 昔、昔、山を越え、峠を越え、人里離れた山の奥に、赤鬼と青鬼が住んでいました。 青鬼は野球が大好きで、いつもどうやったらレギュラーになれるか考えていました。


「僕は名手なのに、どうしてスタメンで使ってくれないのかな。おいしい焼肉のお店もたくさん知ってるのに。」
「ねえ、青鬼君、そんなにレギュラーになりたいのかい。」
「うん、レギュラーになりたいよ。」
「じゃあ、いい考えがあるんだ。ちょっと耳を貸してごらん。」
「うん…うんうん…えっ…そうか、なるへそ!」
「わかったかい。じゃ、ひと風呂浴びに行こうか。」
「君のいう風呂は特殊浴場だろう?」
「いやなのかい?」
「レッツら・ゴー!」


翌日。


 
広島
中日  



ブラウン 「うわあ、あっと言う間に1死一二塁、サヨナラの大ピンチだ。どうしよう、どうしよう」

赤鬼くん 「かんとく、ぼくにまかせてください」

ブラウン 「あ、赤鬼くん!ここはよろしく頼むよ!」

清川コーチ、ピッチャー赤鬼くんに交代だ!
あ、打順は言わなくていいよ。不慮の事態とかあったときに、こっちの都合であとからいつでも変更できるようにね。




立浪、サヨナラ2ベース!

「青鬼、サヨナラ2ベースだぁー!」




赤鬼くん 「ぎゃあああ!やっぱり青鬼くんにはかなわないや。 なんでこんなすごい人がベンチなんだろう。 まいりました、まいりました、エーン、エーン」

落合親分 「すごい!すごいじゃないか!青鬼すごい!」

こんなすごいバッターを何でオラは今までスタメンで使わなかっただ…

青鬼 「これがボクの実力ですよ、かんとく!」




 青鬼はみんなにモミクチャにされ、おおよろこびです。
 歓喜の輪が解け、サヨナラのヒーローとして塁上からベンチに戻るとき、 青鬼はマウンドのちかくに1まいの手紙が落ちてるのを見つけました。




青鬼 「おや、こんなところに手紙がおちてる?」



親愛なる青鬼くんへ。

もし君が赤鬼の友達とわかったら、試合に出してもらえなくなるでしょう。 だから僕はもう君には会いません。一人遠くへ行きます。 どうかドラゴンズの人たちと仲良く暮らしてください。 さようなら。




青鬼 「ああ、赤鬼くんが行ってしまった。あんないい友達だったのに。行ってしまった。 これから僕は、誰と一緒に特殊浴場へ行ったらいいんだろう」



 青鬼くんはお立ち台の上で、ポロポロと涙を流すのでした。


中スポ1面 トーチュウ1面


〜 おしまい 〜

参考:日本昔ばなし『泣いた赤鬼





第164話・おまけ

ドラゴンズ最速男




走る!ODA

「立浪、打ったァーー!」

「右中間抜けたー!」

「ランナー一斉に回るー!回るー!」

走る!ODA

「奈良原がホームに向かっている!」

「タニシゲも既に三塁を回っている!」

「打った立浪はもう二塁へ達しているぞ!」

「その直後に小田…」

小田


ドラゴンズ最速選手は
小田幸平に決定!


奈良原「次元の違う走りを見た」
タニシゲ「走るというより、飛んでる感じ」
立浪「走ってるとき、持っているペットボトルの液体の、水面が揺れないんですよ」
友寄球審(小田のグラウンドへの乱入が奈良原のホームインより早かったのではないか?の問いに)「速過ぎて見えなかった」

ぶっちぎ竜