第118話

もしも野球が判定制だったら(3)

※本テキストはいつもフィクションですが、 今回はいっそうフィクションです。実在の人物・事件・試合とはいっさい関係ありません。



 放送局に殺到した抗議電話の内容は、

  • 明らかに中日の方が強いのに、ベイが勝つのはおかしい
  • 牛島の高校時代の態度はなんだ
  • 子供がああいうのを格好いいと思って育ったらどうする
  • まず言葉遣いをきちんとしろ(話したことないけど)
  • 試合前の牛島紹介が長い
  • 由美かおるの入浴シーンは本当に需要があるのか
  • 里美浩太郎に水戸黄門の役は合わない

 というものだった。
 翌日のスポーツ紙は一斉に

「牛島、疑惑判定」
「え〜〜〜〜っ、勝っちゃった、ベイ」
「ブサイク、ベイ判定勝利」

といった見出しが並び、インターネットでは93%が「中日の勝ち」 というアンケート結果が掲載され、 この“疑惑の判定”は社会現象にまでなった。

    ※社会現象にまでなった …具体的に何がどうした状況を「社会現象にまでなった」というのか知りませんが、 最近マスコミがやたら使っているので、真似して使ってみました。
ベイ−中日戦、あなたの判定は?

(インターネット・アンケートより)

 そして、「疑惑の判定」から数日後、 テレビの朝のバラエティ番組で、牛島と牛島に批判的なコメンテーター2人による、 公開討論が行われたのである!


牛島監督 「試合のジャッジは審判が決めるもんや。視聴者が決めるんやない」

ガッツさん 「僕が審判ならドローです。 あの内容で勝者なら、野球の試合は全部ホームチームが勝つのか、 ってことになっちゃう」

牛島監督 「うちはルールに基づいて試合をして、そして勝った。 何ら非難されることはしてない」

ヤクミツル 「ワシは牛島さんの態度が問題だというとるんですよ! あの武勇伝は子供の教育によくない! 親のしつけが悪いんじゃ!」

ガッツさん 「このままでは日本の野球界はダメになってしまう。 ベイの将来を考えても、負けた方がいい試合だった」

牛島監督 「そんなこと言われても…ジャッジを決めるのは俺やないし…」

ヤクミツル 「高校生で女遊びなんて、何てうらやま…あ、いや、 子供の教育によくないんや! 親のしつけが悪いんじゃ!」

牛島監督 「そんなこと言われても…俺は子供の教育のために野球をやってるわけちゃうし…」

ヤクミツル 「試合前の牛島ヒストリーが長いんじゃ! やっすいドラマ見せられてるみたいやで。 親のしつけが悪いんじゃ!」

牛島監督 「そんなこと言われても…俺が試合前のヒストリー流したんちゃうし…」




三者三様の言い分が飛び交い、討論会は白熱したバトルに!
お互いの言い分を主張しあった勝ち負けは、

判定に委ねられた!




ジャッジ 「ただいまより、3人の審判のジャッジの判定結果をお知らせします!」

ジャッジ 「A審判、2−1で牛島!」

ヤクミツル 「なんでやねんッ!」

ジャッジ 「B審判、2−1でヤクミツル!」

ヤクミツル 「よーし、よーし」

ジャッジ 「C審判、2−1で…」

ヤクミツル 「……」

牛島監督 「……」

ガッツさん 「……」

ジャッジ 「桜新町の」

ヤクミツル 「ヨッシャーッ!どんなもんジャーイ!!」



 バトルは3人のジャッジの判定により、2−1でヤクミツルに軍配があがった!

 しかし直後、
 「あの判定はおかしい!」
 という抗議の電話が、放送局に5万件も寄せられたのである!!


ジャッジ

(インターネット・アンケートより)



ヤクミツル 「親は関係ねえだろっ!?」




ぶっちぎ竜