第２７話 sige's アイ 　現役生活１８年目のベテラン・タニシゲ捕手は独特の目、 「sige's アイ」 を持っている。 　その目は、バッターボックスの打者心理はもちろん、 ベンチにいる監督心理まで読んでしまうのだ！！ 「昨日は素晴らしい試合でした！ウエハラ君は最後はＫＯされたけど、 彼の言うように、来てくれたお客さんはみんな満足したんじゃないかな！」 ジーーーーーーーッ 「そりゃナゴドの中日ファンと、ウエハラ一人は満足しただろうさ。 責任取らなくていい立場の選手は気楽だよな。責任取るのは結局、監督のオレなのにさ。 接戦で負けようが大差で負けようがマケはマケだっつーの。 エースだったら内容はいいから結果で見せろよ。新人じゃねえんだから」 「アイツの一人相撲で負けた試合なのに、勝手に“いい試合”にしやがって…（しかも自分で言うか？）。 マウンド上でガックリ、 みたいな客ウケするパフォーマンスされちゃ、アイツのせいにしたらファンから叩かれそうだしなあ…」 原 vs 落合 ２回戦 　昨日に続く投手戦は、昨日と同じような展開で、読売１点リードのまま９回を迎えた！ 「よーし！このまま勝てるぞ！ダメ押し行こう！」 ジーーーーーーーッ 「何だよ、昨日と同じ展開じゃねえか…。また逆転されるんじゃねえだろなあ…。 開幕前に優勝宣言までさせられて、今年も弱かったらテレビ中継が前半で打ち切られちゃうんだよ。 空気読んでくれよ落合…。ここで３タテなんか喰らったら…」 「…こんなとき、もしドラえもんがいたら助けてくれるんだろうなあ…」 　８回に代打が出た関係で、９回からタニシゲがキャッチャーに代わる！ 　（ピッチャーはマルティネス→高橋聡） 「………」 「さあタニシゲさん、何処投げますか！」 「カマーン！」 「……え？」 　９回、ここまでの投手戦（貧打線）の均衡が突如決壊、中日投手陣が大崩れし、 三塁ランナーのホームスチールまで許し、あれよあれよの５失点。 試合はあっけない幕切れを迎えた。 「チームにとっても（今季初登板の）内海にとっても大きな位置づけを持った一戦だったね！」 「６月打ち切りはまぬがれたよ〜。ヒィ〜、助かったあ〜！！」