2005/05/26(木) しあわせの王子


 むかしむかし、あるところに「幸せの王子」と呼ばれる銅像がありました。
 銅像は、たくさんの白星に囲まれて、金色にひかり輝いてました。

金色に輝くしあわせの王子

 王子の願いは、日本で一番になることと、球界の発展です。
 そんな王子の指は今日も空に向かい、「日本一」を指し示しています。



 ある晴れた昼下がり、王子の許に一羽のツバメが近づき、 囁きました。

ささやくツバメ

 「王子、王子。神戸に貧しいチームがいるよ。とても可哀相なチームだよ」
 「何だって? …よしわかった。私の星を分けてあげましょう」

 王子は自分の星をはぎとり、貧しいオリックスに分けてあげました。



 その後もツバメは時々あらわれては、耳元で

 「所沢に瀕死のライオンがいるよ」
 「福岡に親に捨てられた可哀相な子がいるよ」

 と囁き、そのたびに王子は自分の星を分け与え、 王子自身、どんどん貧しくなっていきました。

身を削ってパの弱小チームに星を与える王子



 そして、交流戦5カードを消化しました。


日付 対戦相手
05/06(金)〜08(日) オリックス ●●○
05/10(火)〜12(木) 西武 ●●●
05/13(金)〜15(日) 福岡 ●○●
05/17(火)〜19(木) 札幌 ●○●
05/20(金)〜22(日) 千葉 ○●●

 「王子、こんなに星をやっては王子が…」
 「交流戦は五分なら御の字だ。失った星はまた稼げばいい。オラはいいだ」
 「そうですね。楽天から取り戻せばいい話ですね」
 「バカこくでね!何言ってるだ、ツバメ君!  何のための交流戦だ? 貧しいパのチームを救うための交流戦だべ? 一番貧乏な楽天を救わなくて、何が交流戦だ、何がパリーグ救済だ。 オメらの『パリーグ救済』は口だけだか、ツバメ君」

王子の体を気遣うツバメ

 「ほら、星三つだ。これを仙台まで持ってってケロ」
 「お、王子…。あなたは何て素晴らしい人なんだ…!」

日付 対戦相手
05/24(火)〜26(木) 楽天 ●●●


 交流戦前、「11」あった王子の星は、交流戦前半が終わる頃、 たった一つになってました。



 しかし、王子が自分の身を削ってパの球団に星を分け与えていても、 与えた先からその星をかすめ取っていく、 盗賊のような球団もいたのです。

交流戦前半終了時、星取り表
チーム 貯金
ヤクルト 11 +5
阪  神 11 +5
読  売 10 +3
横  浜 −1
広  島 10 −3
中  日 14 −10
ほくそ笑むツバメ



 持っている星のほとんどをパのチームに与え、 丸裸になった「しあわせの王子」の像。

それでも日本一にな竜!

 それでも王子の指は今日も空に向かい、「日本一」を指し示しています。