第七十七殺
川崎、グラウンドを去る

10月3日(日) ○中日−ヤクルト×



落合親分


「秋季キャンプのときはみんな、1000本素振りしたらいっぱいいっぱいなんだ。 今の選手は体力がないな、って」


落合親分


「それが春季キャンプが始まったら、2000本でも3000本でも振れるようになっていた。 オフの間、自分たちで鍛えてきたんだな、と」


落合親分


「それからは朝から晩まで練習、練習、とにかく練習漬けだよ。 とにかく猛練習だ。人の3倍の練習。 それでリタイアするような選手は、試合では使わないつもりでした」


落合親分


「…辛い? どんな苦しい練習でも、厳しい練習でも、 選手にとって“辛い”なんて事はないよ」


落合親分


「野球選手にとって練習は辛くも何ともない。 どんなに痛くても、苦しくても、『野球がやれる喜び』がそこにはある。 その気持ちがあれば、どんなキツい練習にも耐えられる。 本当に“辛い”というのは…」




☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
ヤクルト 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1
名古屋 0 2 2 4 0 0 2 1 x 11




 この日、川崎憲次郎の引退セレモニーが行われた。

 川崎憲次郎。この一人の“伝説の仕置人”には、賛否両論があった。
 いや、「賛」はない。 あるのは否定派と、「ま、イーんじゃねーの?」という非・否定派(見てみぬ振り派)の 二種類であり、肯定派はいないといっていい。

 何しろ、この仕置人、4年間でした仕置きがわずか3回、その3回の成績が「0勝1敗」、 すなわち一つの成果もおさめず、そのうちの2年間は「投手最高年俸」だったのである。

 言ってみれば『必殺仕事人W』で、 「ええ!?中村主水とひかる一平が同じ仕事料!?」 と誰もが疑問を抱くようなもので、 「何も仕事をしてないひかる一平が、現場で血を流す仕置人と同じ(あるいは高い)仕置き料を もらっているのは理不尽」という否定派と、 「いや、ひかる一平だってそのうちタッキー&翼くらい稼いでくれるよ。 それまでは見守ろう」 という非・否定派との間で、ファンの意見も真っ二つに別れていた。


ひかる一平(西順之助)

果たしてその存在は必要だったのか疑問が多いひかる一平


 そのため、この「引退セレモニー」も、「給料泥棒の川崎に引退セレモニーなど必要なし!」派と、 「あれほどの大投手。最後はあたたかく送ってあげよう」派に意見が分かれる。

 川崎がたとえ「復帰へ懸命な姿が、若い選手にいい影響を与えた」としても、元締めが 「開幕戦で川崎が投げたことで、このチームの戦い方を明らかにし、だから1年間やってこれた。 だから今の優勝がある」と言ってみたところで、ファンはそれを「確認する手段」がないのである。

 川崎は、本当にナインに影響を与えていたか-----------。



☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 それを知る上で、非常に重要な映像がこの日、お茶の間に流れる!

 花束贈呈、胴上げ、三塁ベンチへの挨拶のあと、 一塁側のベンチでコーチ・選手と一人一人握手を交わす川崎。 その川崎と握手を交わす選手の中に、 帽子を取るものと、取らないもの がいることが発覚した!!
 ご存知のとおり日本では、尊敬する相手の前ではシャッポを脱ぐのが礼儀礼節である。 「敬意を抱く相手に対し、帽子をかぶったまま握手」というのは、日本人の道徳観念では通常あり得ない。 ましてや体育系で育った彼らである。

 我々取材班は、「川崎と握手をするとき、帽子を脱いだか、かぶっていたか」で、 ナインが川崎に抱いている“感謝の気持ち”を分析しようと試みた!!


帽子を脱いだか
(○…脱いだ)
仲 沢×
井 端
立 浪
大 西×
川 上×
川 相
山本昌×
荒 木
オチョワ
バルデス
リナレス
岩 瀬
森 野×
岡 本
井 上×
落 合×
平 井
谷 繁
平 松
山 井×
英 智
小笠原×
高橋聡×
長 峰
前田章×
柳 沢
高橋光×

川崎に殴られる平松

特に理由なく殴られる平松↑


帽子をとって握手した選手…14名
着帽のまま握手した選手…12名
(※平井と谷繁のときは、カメラがズームアウトしたので確認できず)


【結論】どうやら過半数の選手に川崎は慕われているようだ。


 外国人選手3名が揃ってきちんと脱帽しているのは、さすが「礼儀正しいと評判のチュニチの外国人選手」らしい。ドミンゴがいたらきっと脱いでなかったと思うが。
 あと、着帽のまま握手した選手についても、落合・井上は泣いていてそれどころじゃなかった様子で、 川上には川上の別の事情 があると思うので、この3名は除外してもいいか。
 また、この日ベンチ入り登録されてない川上が、 このときだけ出てきて川崎をグラウンドで見送ったのは印象的だったが、 同じくベンチ入り登録でないのに胴上げのときだけベンチにいた福留はこの日はいなかったようだ。 このあたりは(いなかったけど)「×」にカウントしてもいいだろう。


 そして、今ここに、ひとりの野球人がグラウンドに別れを告げる。


さよなら、野球!


 目前に控えた日本シリーズを待つことなく、 「20番」は最後にVの体勢で名古屋一家の日本一を願い、グラウンドから去ったのだった。


川崎、Vの体勢で日本一を祈願

Vの体勢で日本シリーズ優勝を願う川崎



 川崎に対する万感の思いはあるが、最後に一つだけ。

 「…一体、平松と川崎の間に、何があったのだろう?」

 という疑問を残し、川崎は去っていった。
 亜希子か。矢田亜希子絡みか。




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