第七十三殺

渡邊も来た!

9月22日(水) ○中日−ヤクルト●


 思えば、今年4月に落合親分の初の仕置きが始まった頃は、 一家の抱える仕置人の起用法に、世間ばかりかファンまでも非難轟々だった。

 よく聞かれたのは、

 「どうして井上を使うんだ!」
 「どうして荒木を使うんだ!」
 「立浪はやる気あるのか!」

 といったもので、もちろん「どうして!?」と聞かれても、 そんな興味半分で聞かれてることに落合親分が答える義務などなく、 誰に何と言われようと自分の起用法を貫いてきた。

 しかし世俗世間のそんな声は、すぐに沈黙する。
 元締めが“我慢して使った仕置人”が、次々に花開いていったのだ!!


みんなやれば出来る子だよ!


 ファンは結果についてくる。

 「ああ、親分の見る目が正しくて、俺達の目が節穴だったのだ!」

 しかし、そんな中、いくら使い続けても、 全く花の咲く気配のない 仕置人が一人いた。


渡邊  倫代〜。今日も打てなかったよ〜。
 
倫代  大丈夫よ!渡邊クン!
 渡邊クンには私がついてるじゃない!
 
渡邊  そうだね!俺、頑張るよ!!


 春を過ぎ、夏になっても打率は.200前後を迷走、 見るたびに変る打撃フォーム。解説でOBの彦野には


 アナ「渡邊選手はまたフォームを替えましたね」

 彦野「そうですね。まあスランプで、彼もいろいろ考えてるんでしょう」

 アナ「シーズン中にフォームを替えるというのはあまり聞きませんが、どうなんでしょう?」

 彦野「ま、いい事は一つもないですね」


 とバッサリやられた事もあった。
 その渡邊が!!


渡邊、9月の打撃成績

9/01 阪神 中安             .235
9/02 阪神 右安 右2          .243
9/03 広島 二併 中安 遊ゴ 中飛    .243
9/04 広島 一犠 左安 遊ゴ 一ゴ 二ゴ .243
9/05 広島 中安 三ゴ 二ゴ 左安    .248
9/07 読売 中安             .251
9/08 読売 二ゴ 右2 三ゴ       .252
9/09 読売 三ゴ 中安 右2 三振    .257
9/10 広島 投ゴ 二ゴ 二ゴ 四球    .253
9/11 広島 三振 中2 遊ゴ       .254
9/12 広島 右安 死球 一邪 左安    .262
9/14 阪神 遊ゴ 二飛 中安 中飛    .259
9/15 阪神 三振 右安 投ゴ       .260
9/20 読売 右安 遊ゴ 右安 三振    .264
9/21 読売 右安 三ゴ 死球 右安    .269
9/22 ヤクルト 投ゴ 中安 左安 左安    .277


50打数23安打 .460

渡邊、打撃開眼!!

「ああ、やはり親分の目は正しかったのだ!!」


渡邊  倫代〜!今月は俺、頑張ってるよ〜!
 
倫代  猛打賞の商品はまっすぐ家に持って帰るのよ(はぁと)
 渡邊クン(はぁと)


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
ヤクルト 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
名古屋 0 0 0 0 2 0 0 1 x 3


 そしてこの日もマジック対象・ヤクルトとの戦いで4の3の猛打賞!
 これだけの活躍をすれば、立浪なら1面トップ、井端なら3面ブチ抜き、 井上なら『ドラ番記者』に取り上げられるくらいの話題になるのに、 ほとんど話題にならないところも、渡邊の控えめな職人振りがよく出ている。

 今まで、元締めには 「守備と選球眼ピカイチ」と言われ、 バッティングには触れないようにされてきた 渡邊が、ついに一塁レギュラーを不動のものにしつつある!!


☆   ☆   ☆   ☆   ☆



スコアラー  元締め。
 仕置き依頼の客人が来ています。
 
落合親分  通せ。
 
光信  元締め。実は渡邊という男を仕置して欲し…
 
落合親分  いいからお前はスローイングの練習でもしてろ。





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