第三十九殺
井上、よみがえる真の主砲

7月4日(日) ×横浜−中日○


 古くは、車田正美の名作『リングにかけろ』で、 世界大会の決勝・ギリシア戦で絶命したはずの日本ジュニアの5人が 何の医学的根拠もなく第2部開始と共に 生き返った ことに始まる。

 「死んだはずの日本ジュニアが何故!?」

 このあたり、ストーリー中では 「オルフェウスのカゲ腹」 だか 「和田のハゲ頭」 だか 「ハゲじゃないよ額が広いだけだよ川上」 とか、 何だかよく分からない事を言っていたが、 蘇生の理由は全く謎のまま、読者置いてけぼりで強引にストーリーは進行した。


死んだはずの日本ジュニア

「感動的な死」で読者を泣かせておいて、すぐに生き返らせる詐欺的商法を最初にやった『リングにかけろ』


 この 「一度死んだ人間が、何だか分からんけど生き返る」 という手法はこれ以後、 ジャンプの各漫画でパク、いや、応用され、 「友情・努力・勝利、死んだやつが生き返る」は “ジャンプ漫画の四大キーワード” として、一大ジャンプブームを築いたのである。
 そして、やがては『ドラゴンボール』のような世界中で読まれる大ヒット作でさえ、 悟空やクリリンが何度死んでも 「どうせ生き返るんだろ」と、 “日常の出来事”として普通に受けいれられるようになった。
 人々は知っている。

 スーパースターというものは、
 死んでも生き返る

 ものだと。 (むしろ、死ねば死にっぱなしの貧弱なヒーローなど、 ヒーローとして認められない時代になったと言える)


☆    ☆    ☆    ☆    ☆



 つい前の日の試合では、井上の調子の三大バロメータとも言える 「内角低めの空振り」「見逃し三振」のもう一つ、 2死三塁からお家芸の「中途半端なハーフスイング」で チャンスを潰したばかりの井上、


ガックリしたのは客の方だ

井上、気持ちは分かるがガックリしたのは客の方だ。


 4月の大活躍は夢かまぼろしか。 またこれから4年間スランプが続くのか。
 いや。
 井上は、復活へ向けて着実にその階段を上がっていたのである!!



☆    ☆    ☆    ☆    ☆



 1−1の同点で迎えた4回、 井上は五輪日本代表にも選ばれた“日本のエース”三浦 (ただし、二段モーションのため五輪登板予定ナシ) のカットボールを捉え、 打球は高く遠く、横浜スタジアムのライトスタンドへ吸い込まれた!!!





 この日の井上は、勝ち越し2ランを含む3安打猛打賞、 守備でも好捕、強肩二塁刺しなど2つのスーパープレーを披露し、 完全復活を遂げたのだった!


番長連合 アクメツ
からくりサーカス


死んだはずの井上が、生き返った!!




井上  復活!!


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
名古屋 1 0 0 2 0 2 1 0 0 6
横浜 0 1 0 0 1 2 1 0 0 5


 横浜スタジアム名物・「敵が勝ってもヒーローインタビュー」では、 復活の井上がお立ち台に上がった。

     「久しぶりにバットに当たったという感じです。 このところ…ここ2カ月くらい…僕は…チームに…迷惑をかけ……」

 井上の声が涙ぐむ。湧き上がる歓声。

     「…昨年までだったら、そのまま腐っていたかもしれません。 でも、今年はそういう態度は絶対に見せないと。 いつか絶対に良くなると信じて…」

 そして、最後は

    「打てないときにも、ファンの皆さんが応援してくれたことが励みになりました! ファンの皆さんに恩返しできるよう、頑張りたいです!」

 と、本サイトへの感謝の言葉 で締めくくった。


落合監督  いや…、そんなつもりじゃないと思うが…。


 名古屋一家には 「井上が活躍しないと優勝しない」 というジンクスがある。
 何しろ、過去10年で井上が活躍したのは1999年の1年のみ。 名古屋一家が優勝したのも1999年の1回のみである。 過去に福留や岩瀬が活躍した年は何回もあったが、 それが優勝に直結したわけではない。 だが、井上の活躍は優勝に直結する のである。

 元締めはペナント前に 「立浪は4番ではない。福留も、厳密にいえば4番タイプではない」 と言った。そのときはその意味するところがわからなかったが、 今ならそれがわかる。
 真の4番に“必要なもの”は、 「その活躍で一家を優勝に導ける器」 なのだ!!

 真の主砲・復活。
 名古屋一家の天下統一に、“なくてはならない者”が帰ってきた。




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