第二十三殺
タニシゲ、元に戻る

5月29日(土) ○中日−阪神×


 「こうやって画面からも見てても分かりますね。 タニシゲがものすごい怒って ますよ」

 解説の小松辰雄が言う。
 先発・野口の不安定なコントロールにタニシゲがキレて、 1球受けるたびにマウンドの野口に対し、感情ムキ出しで怒っているのだ。

 デジャ・ヴュ。

 昨年、何度見た光景だろう。
 調子の良くない野口に向かって、キャッチャーが怒る。

 「どうしてコントロールが悪いんだ!」
 「どうして打たれるんだ!」


 
野口  「どうして」って言われても…。
 パッと思いつく原因は一つあるけど、元締めの方針で
 「今年はそれを言い訳にしない」
 って言われてるから…。


 去年は監督・キャッチャーがいくら野口を怒っても怒鳴っても結果には結びつかず、 シーズン後半、 別の方法で 野口は調子を取り戻した。
 しかし、今年は 「ピッチャーによって捕手を代える事はしない」 という落合親分の方針で、同じ“治療法”は使えない。


開幕前
 「今年はね、“怒らない谷繁”でいこうかなと思ってます」
 こういって「ガハハハハハ」と豪快に笑う谷繁選手。
 (略)
 これまで谷繁選手はゲーム中、 要求通りに投げないピッチャーに対し、 厳しい言葉を浴びせた ことがあったと言う。 それは「相手に勝ちたい。そのピッチャーを勝たせてあげたい」 という気持ちからの言葉。 しかし、時としてそれが逆効果となり、 かえって若い ピッチャーを萎縮させてしまう こともあったとか。(略)

--『月ドラ』2004年4月号掲載、テレビ愛知『どらぐら2』インタビューより


 タニシゲが、元に戻った。


タニシゲ、進化の過程

タニシゲ、進化の過程



 そして両軍無得点のまま0−0で迎えた5回裏。
 名古屋一家の攻撃は、 1死ながらランナーを二塁に置いてバッターは8番・タニシゲ。
 三振。
 2死となったところで、9番・野口が自らヒットを放ち(!)一三塁にしたが、 後続が続かずこの回は0点に終わった。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
阪神 0 0 0 0 0         0
名古屋 0 0 0 0 0         0


 ----ああ、打てないまでもタニシゲがランナーを進めていれば!

 しかし野口は、 「どうして進塁打も打てないんだ!」とは言わない。 怒鳴ったところでヒットや進塁打が出るわけじゃない事を、 野口は知っているからだ。

 そして攻守変わった6回表、 タニシゲの痛恨パスボール で1点を失った野口は、 「自責点ゼロ」で勝ち投手の権利もないまま、マウンドを降りたのだった。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
阪神 0 0 0 0 0 1       0
名古屋 0 0 0 0 0         0


 ----ああ!タニシゲがせめてボールを体で止めていれば!

 それでも野口は 「どうしてボールを後ろに逸らすんだ!」とは言わない。 怒鳴ったところでエラーが無くなるわけじゃない事を、 野口は知っているからだ。


落合  「タニシゲは生まれ変わったはずなんだがなぁ…?
  昨日までは完璧だったのに、今日は打撃も守備も、雑すぎる!」
 
落合  「ハッ、もしや!?」


ここ数試合のタニシゲの打撃成績

日付 打席内容 先発
5/23(日) 右安 左本 中安 中安 右安 平井
5/25(火) 右安 投ゴ 敬遠 左安 左2 ドミンゴ
5/26(水) 三振 左安 左安 左本 朝倉
5/27(木) 左安 左本 三飛 中本 川上
5/28(金) 三振 中飛 右2 山本昌


落合  「…野口が投げるときだけ、先祖返りするのか?」




  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
阪神 0 0 0 0 0 1 0 1 0 2
名古屋 0 0 0 0 0 0 3 0 x 3

野口降板後の7回裏、それまで無安打の タニシゲのヒットを皮切りに3得点↑






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