第十七殺
達川、「何とかなる」は魔法の合言葉

5月18日(火) ×広島−中日○




 たとえば、だ。

 友人Aに、やむなく100万円の借金をしてしまった。
 もちろんそのときは「返せるアテはあった」し、 Aを裏切るつまりは毛頭もなかった。
 が、しかし、不運な出来事が重なり、その借金が返せなくなったばかりか、 あらたに200万円の借金を重ねる必要が出てきてしまった。 しかも、今度の借金は返すあてが全くないのだ。

 周りには懐に余裕があり、 土下座してお願いすれば金を貸してくれるだろうと思われる友人が3人いる。 一人は最初に借金をしてまだそのお金を返していない友人A、 あとの2人をそれぞれ友人B、友人Cとしよう。
 あなたなら、誰から金を借りる?

    (1) 友人Aに追加で200万借りる。(計300万)
    (2) 友人Bに200万借りる。
    (3) 友人Bと友人Cに、100万ずつ借りる。
    (4) 友人Bと友人Cに150万ずつ借り、うち100万は友人Aに返す。
 クイズというよりはちょっとした性格診断のようなものだが、 この話が載っていた書によれば、 この問いの “正解”は(1)である とあった。

 理由は簡単。どう借りようと借金の額は同じ、 だったらもしお金が返せなくなったとき、 友人を3人いっぺんに失うよりも、 1人の友人を失うに留めておけ 、ということだ。

 私はこの道理に「なるほど」と思ったものだが、 皆さんはもし得心がいっても、自分の知人・友人にはこの話を、 ましてや賛同するような発言は差し控えた方がいい。 お金を貸してくれなくなるからだ。





 さて、ヤクルトに借金をしまくってる名古屋一家だが、 星を借りるのはせいぜいヤクルト1球団にして、 広島からその分を回収しよう。
 カープファンの友人を失うかも知れないが、 もともと絶対数が少ないんだから気にするな。


達川  「ドミンゴを攻略するのはねえ、
  簡単なんですよ!
 
実況アナ  「簡単というと?」
 
達川  「ランナーを出す!
  ランナーさえ出せば、いくらでも攻略できます!」
 
実況アナ  「なるほど、まずはランナーを出す。…それから?」
 
達川  「何とでもなります!」


 どうやってランナーを出すか、ランナーを出してからどうするか。 その 具体的作戦が1ミリもなく ただ「何とでもなる!」 と言い切る元広島監督・達川が見守る中、 試合は意外な展開で進んだ。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
名古屋 0 0 0 3 0 0       3
広島 0 1 0 0 0 0       1
  ドミンゴ
木村拓 左飛 一ゴ
東出 三振
中2 投安 左安
ラロッカ 四球 三振 左2
シーツ 遊ゴ 左安 三ゴ
前田 遊ゴ 三振 三振
緒方 四球 中飛 三振
野村 中3 投ゴ 四球
石原 二ゴ 三ゴ
森笠 中飛
高橋 遊ゴ 三振 遊ゴ


実況アナ  「広島、結構ランナーは出してるんですが…」
 
実況アナ  「全くドミンゴを攻略出来ません!」
 
達川(チッ)  「……」


 4回を除けば毎回ランナーだけに、うっかり 「今日のドミンゴは調子がいいですねえ」 と言う訳にもいかず、あれよあれよと試合は進み、 達川が「広島は岡本を打てないんですよ」と言った岡本は2イニングを1失点、 「9回はどう考えても(岩瀬ではなく)落合英二ですよ。今一番信頼できるピッチャーです!」 と言った落合英二も打たれて失点と、 達川政権が何故短命だったか 、その理由をを視聴者にまざまざと見せつつ試合は終了した。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 R
名古屋 0 0 0 3 0 0 0 1 0 4
広島 0 1 0 0 0 0 1 0 1 3


達川  「広島はねぇ、今シーズン、中日に相性悪いんですよ!」


 ええ、知ってます。

 ちなみに、達川が広島の監督に就任した99年、 日刊スポーツグラフ『プロ野球選手名鑑』によれば、 達川新監督の紹介欄には
     昭和30年代生まれの監督は球界初。 現役時代から親しまれたユーモア に勝負師としての厳しさをプラス。 チーム再建を目指す。

 とあった。同じく00年の同名鑑には、
     監督就任2年目は勝負の年となる。 現役時代から親しまれたユーモア と勝負師としての厳しさを発揮。 チーム再建を目指す。
 と書かれている。
 捕手出身の監督で、 これほど「ユーモア」を強調された監督は、後にも先にも達川だけだ。




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