第三殺
川上、迷宮の果てに

4月4日(日) ○中日−広島×



  「まただ…。投げても投げても…試合が終わらない…。この道は何処まで続いているんだ…」

 川上は迷宮のラビリンス(※意味同じ)を彷徨っていた。

 「この回を抑えれば、味方が点を取ってくれるはず…」
 「この回を抑えれば、味方が点を取ってくれるはず…」
 「この回を抑えれば、味方が点を…」
 「この回を…」



  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R
広島 0 1 1 0 0 0 0 0 0     2
名古屋 2 0 0 0 0 0 0 0       2


 何度目かのデジャ・ヴュ。

 「ああ、このバッター、見たことがある…。さっき対戦しなかったっけ…。またやるのか…」
 「また前田さんか…。このチームには前田智徳が何人いるんだ…」
 「いったい、いつまで続くんだ…」
 「いったい、いつまで…」


  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R
広島 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 2
名古屋 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0   2


無限回廊をさまよう川上

無限回廊をさまよう川上


 打者五巡、11イニングで43人のバッターを相手に川上はたった一人で投げ続けていた。
 終わらない試合。
 そして33個目のアウトを取ったところで、 その裏、同点のまま川上は代打を出された。
 薄れていく意識の中、川上の目には、代打の川相が送りバントを決める場面が映った。

 「疲れた…。もう眠い…」

 川上は意識を失った。



 数分後、大歓声が眠りについた川上を叩き起こした!!

「立浪のサヨナラだぁーーー!!」

立浪サヨナラ打!

「延長11回裏、立浪のサヨナラタイムリー!」



  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R
広島 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 2
名古屋 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1x 3x


 「立浪さぁんっ!!」

 一塁ベース上でもみくちゃにされる立浪。その輪の中に川上もいた。 勢いあまって川上の帽子が飛ぶ。

 「け、憲伸!お、お前その額!?」


ドドーーーン!

「い、いつの間にそこまで!」




監督  「川上…。この長いイニングで、神経性抜け毛がそんなに…」
川上  「いや…。これは結構前から…」




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