【プレイバック退場事件】
それは一つの
見逃し三振から始まった


立浪、「二流」にキレる。

 2000年5月6日、ナゴヤドームで行われた中日−横浜戦。 7回裏、2点を追う中日の攻撃、2死二塁でバッターは立浪。 カウント2-0から木塚の投げた3球目は低めのボールで、2-1となる。 そして問題の4球目、今度はさっきのボールよりさらに低いボールで、 これを悠然と見送ると、今度は審判は「ストライク」のジャッジ、 立浪に三振をコールした。 立浪は驚き、「えっ、何で!?」と審判を振り返ると、 審判は立浪に対し、「文句を言うな、この二流!」と発言、 人は本当のことを言われると怒る というが、痛いところを突かれた立浪は反射的に審判を両手で小突いてしまう。 すかさず審判は立浪に退場をコールした。


大西、「若造」にキレる。

 センイチは立浪三振コールの瞬間にベンチを飛び出していた。 選手も一斉にベンチを飛び出す。 この間に立浪が退場を宣告され、センイチは 「なんでタツが退場なんだ!」 と猛然と審判に突進、審判はセンイチにも退場をコールする。 そして向かってきた大西に対し「この若造が!」と発言 (このとき、先に審判が手を出したという説もあるが、未確認) (←と書くとその他のやり取りは確認したかのように聞こえるが、 そんな事は無く、あくまで当時の新聞・雑誌で報道された記事が元ネタです)、 もう29歳なのに若造呼ばわり されて怒った大西は、審判に渾身のニーを入れた。これで大西も退場。 前代未聞の「3人退場事件」となった。


腕組み会見

 翌日、審判は肋骨骨折で2週間の休養を発表。 刑事告訴も検討されたが、 センイチ・立浪・大西には連盟から出場停止と罰金の処分、 さらに大西には球団から減俸処分、 球団と監督が審判に謝罪し、とりあえず決着した。
 センイチは当初、「悪いのはうちだけじゃない」と謝罪会見を拒否していたが、球団社長から数時間に及ぶ説得を受け、謝罪会見に挑んだ。しかし、会見では腕組みしたまま、「言いたいことは山ほどある」と いかにも球団に「やらされてる感」丸出しの会見 で、1分ほどで切り上げさっさと引き上げて行った。


神様の暴言

 センイチの山ほどある「言いたいこと」とは何だったのか。それは推測の域を出ないが、
  1. その審判は以前からミスジャッジが目立っていた
  2. 中日の2選手を侮辱した
 ということ、そして告訴話が出たとたんに、親会社のメンツのために「選手を売った」フロントへの不信感、というのは当然あるだろう。監督は選手と一緒に泥をかぶったのに、球団はマスコミと一緒に選手・監督をたたき、石を投げたのだ。

 「審判のいうことは絶対」なら、 「この二流!」「この若造!」と言われても、選手は 「そうですね」と言ってベンチに下がらなければいけない のか。 そんなことを言えば、 選手は怒り突発的行動に出ることは、審判は分かっていたはずだ。 分かっていたのに「した」のである。
 そんな審判の責任問題は問われないのか。バカにされたのは他の誰でもない、 我々、中日の選手たちなのだ。

 この事件では、暴力行為の是非だけが問われ、それに至る経緯、 審判の態度については、黙殺された格好になった。
 そして、これだけ中日の選手がバカにされても、コケにされても、 フロントは一緒になって選手を叩き、 機関紙は一緒になって選手を叩き、 洗脳されたファンは一緒になって選手を叩く。
 それは昨オフ、中村さんが人道的に非道い追い出され方を したときも同じだった。