今週のドラゴンズ (4/10)


ゴースト再び

今岡、サヨナラ弾!
そのときセンイチは!

 「あんなの、前任の野村監督の功績だよ!星野なんか全然関係ない! 星野なんか、星野なんか…え〜ん、え〜ん、うらやましいよォ〜」

 中日ファンが嘆いたところで止まりはしない。 星野阪神がまたまた劇的勝利だ。 この日、甲子園で行われた阪神−広島戦、0−0で迎えた9回裏、 連夜のヒーロー・今岡の打球は弾丸となってレフトスタンドに突き刺さった。
 大歓声につつまれる甲子園球場。ベンチから身を乗り出すセンイチ。 そして、その目が微妙に空中をさまよった。

『星野仙一のトラトラトラ!(旧『星野仙記』)』より

 やあ、まあ。言葉もうまく出んよ。ぐっときてな。0ー0。緊迫のゲームだったもんな。 9回1死。今岡だよ。カウント2ー0から2ー2に持ち直したあとの6球目、 シャープなスイングから描かれた放物線が、 レフトスタンドに飛び込むのを、しっかり見届けた。
うれしかったぞ。 試合を決めたサヨナラの1発。なにかやってくれる男。 いいところで、いいバッティングをしてドラマを創り出してくれる男なんだ。

 今シーズンから再スタートしたセンイチ闘魂日記『トラトラトラ!』。 その中で、闘将は熱く語った。劇的なサヨナラホームランだった。


あれ?

迂闊な1行


 ところが、翌日のスポーツ新聞朝刊を手に取った阪神ファンは、 衝撃の文字列 を目にすることになる。

(スポーツ新聞朝刊より)

 打球の行方は歓声に教えられた。星野監督はベンチから身を乗り出した。 だがその視界はいろんなお尻に阻まれた。「
みんな立ち上がるから見えへん。 歓声だけや。
ワーッときたからね。 ツーベースとホームランじゃ歓声は違うからな」。

 そこには、ホームランの瞬間、センイチが打球を 「見てなかった」事実が、 センイチのコメント付きで堂々と掲載されていたのであった。


新ゴースト油断

阪神にうっかり注意報


 開幕10試合で9勝1敗。
 浮かれ過ぎに気を付けなくてはいけないのは、 選手だけじゃない。

 今年は『仙記』での反省を踏まえ、 バックナンバーを掲載しないなど、揚げ足対策も万全 にスタートさせた『トラトラトラ!』だったが、 春の快進撃で緊張が緩んだのだろう。

 勝って兜の緒を締めよ!
 センイチも!
 ゴーストも!