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D's Jul !

七月前半
_1_2_3_4_5 _6_7_8_910 1112131415
中日



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七月後半
1617181920 2122232425 262728293031
中日


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.......

(○…勝利、●…敗北)

五十一勝三十四敗(一位)

七月一日(木) 「大豊さんを探せ」

○神2−0中●
武田→宣→正津)

 「どういう事だ!?阪神ベンチの中に大豊さんがいないじゃないか!?」。 竜ナインに動揺が走る。 これまで竜軍は阪神戦になると大豊に友情のホームランをプレゼントするなど、 「大豊さんが早くスタメン復帰出来ますように」 とチームを挙げて訴えてきたわけだが、 この日、大豊はスタメンどころかベンチにもいなかった。 「一体、大豊さんは何処へ…」「大豊さんがいない阪神戦なんてつまらないよ…」。 集中力に欠いた竜ナインは初回から武田がメッタ打ちで二点を先制されると、 外野スタンドの観客席に大豊の姿はないかと探す打撃陣は凡打の山を築き、 気が付けば二対〇のまま試合は終了していた。 実はこの日、大豊は球団批判を理由に二軍に落とされており、 「大豊の姿が見えない事でやつらはきっと動揺するはずや」 との阪神・野村監督のずるがしこい策略に、 心優しい竜戦士だからこそ、まんまとハマってしまったというワケだ。

七月二日(金) 復活・山崎!スリーラン連発!

●ヤ3−11中○(ナマ観戦)
野口)

 「知らない間に大豊さんが二軍に落とされていたなんて…。 許さん、許さんぞ野村監督!」 と盟友・山崎が吼える。 大豊二軍降格の怒りの収まりがつかない竜ナインは、 山崎の二打席連続となる豪快スリーランなど強竜打線大爆発でヤクルトを粉砕、 「俺達を怒らせたらこうなるんだ!」 という事を猛打でアピールした。 こんなときに当たってしまったヤクルトには「運が悪かった」としか言いようがないが、 一失点完投目前の野口が九回、 「ちょっと大人気なかったかな。ヤクルトファンが気分を悪くしてるかも知れない」 とヤクルトにオマケの二点をプレゼント、 最後にヤクルトファンに東京音頭を二回も歌わせるファンサービスも忘れなかった。

七月四日(日) 夏の神宮大花火大会!

●ヤ3−14中○(八回裏降雨コールド、ナマ観戦)
(山本昌→正津→サムソン→岩瀬)

 「こんな事なら、今日は浴衣を着てくればよかったなあ」。 そんな声が神宮球場の客席のあちこちから聞こえる。 何せ今年は八月十日(火)に予定されているはずの「神宮花火大会」が、 どういうわけか七月初旬のこの時期に既に開催されていたのだ。 お客さんもさぞやびっくりしただろう。 「ドカーン!」、 まずは職人・関川のツーラン花火が三回に打ち上がる。 「ドドーン!」、 お次は五回に豪快・ゴメスのツーラン花火。 「た〜まや〜」、 七回に山崎のスリーラン花火が響きわたれば、 締めは八回、「か〜ぎや〜」 と渡辺のプロ入り初のスリーラン花火が神宮の杜を昼間のように明るく照らした。 「夏ですなあ」「いやあ、夏ですなあ」。 試合開始前に神宮球場から入場者に配られた特製ウチワにプリントされた、 古田のさわやかな笑顔が竜ファンに心地よい風を送る、 ひと足早い夏の訪れだった。

七月六日(火) 札幌シリーズ・その一

●読2−7中○
川上→正津→岩瀬→落合→宣)

 「こ、こんな馬鹿な!あの強くて偉大で紳士の読売が負けているぞ?! 一体、あのDというマークの青いチームは何処の誰なんだ!?」 と、札幌円山球場の九割を埋め尽くす読売ファンが悲鳴をあげる。 何しろこの地では 「読売最強」「豪打松井」「天才高橋」「エース桑田」 なる札幌市内限定情報が氾濫していたため、 いざ試合をナマで見てみると 「松井よりあの青いチームの背番号四番の方がホームランを打つじゃないか!」 「高橋よりあの青いチームの背番号二十三番の方がバッティングが上手いじゃないか!」 「桑田よりあの青いチームの背番号十一番の方が凄いじゃないか!」 「読売よりあの青いチームの方が強いじゃないか!」 と、現実と虚構の区別がつかなくなり頭がパニクってしまったのだ。 長い期間をかけて読売に洗脳され、 将来あるチビッコまでが黒にオレンジの帽子を被るような魔都市・札幌。 その札幌市民に真実を教えるため、心を鬼にして竜ナインは大量七得点で読売を粉砕、 試合後、球場の空はさわやかに晴れわたっていた。

七月七日(水) 札幌シリーズ・その二

●読3−4中○
(武田→岩瀬→正津→Sサムソン)

 「昨日はちょっと勝ちすぎちゃったかな。 これでは札幌の読売ファンが可哀想だ」 と、武田を始めとする竜投手陣はついついファンサービス。 読売打線にヒットを十二本も打たせるキップの良さを見せ、 読売ファンが九割を占める札幌のお客さんを大いに盛り上げた。 そして三対三の同点で迎えた九回、 「さ、もう皆さん充分堪能したでしょう。それでは例のものを」 とセンイチ君が出したのは「代走・大西」だった。 ツーベースの井上の代走に出たチーター大西は送りバントで三塁に進んだ時点で勝負は決定。 南渕の打ち上げた外野フライがどんなに浅かろうが、 センター松井がどんな鉄砲肩でストライク返球しようが、 キャッチャー村田がどんなブロックをしようが関係ない。 「ううっ、大西をバックホームで刺そうなんて、 ジェット機をパチンコ玉で撃ち落とそうとするようなものなのか!」 と悔しがる読売ベンチを横目で見ながら、 大西はジェット機よりも速く決勝のホームを駆け抜けたのだった。

七月九日(金) 満塁男、今日も本領発揮!

○中7−0神●
野口)

 「このところ満塁で打ててなかったんで…」 と言う井上の言葉がニクらしい。 今季ここまで満塁のチャンスに十打数五安打の数字は、 井上にとっては「打ててない」方だと言うのだから、 こんな余裕綽々のコメントを山崎あたりが聞いたなら、 夜中に呼び出されてホカ弁でも買いに行かされはしまいか、 とファンも思わず「いらぬ心配」だ。 と言っても、「満塁で五割」というのは勝負強い強竜打線の中では確かに低い数字。 立浪・中村あたりは満塁での打率が五割を超えてしまっているのだから、 井上がついつい「俺は満塁に弱い…」と思ってしまったのも無理のない事。 そんな控えめな性格の井上でも勝負となるとド派手なバッティングで大暴れ、 今日も満塁の好機に二点タイムリーを放ち虎をガツン!と撃破、 投げては野口が三試合連続完投となる完封勝利で、 チームはもはや誰も止められない五連勝だ。

七月十日(土) ヤマ復活!中日六連勝!

○中6−2神●
山本昌→正津→岩瀬→中山→今中)

 「調子がよかったので力勝負で行ってしまった。悔しいです…」 という阪神先発・杉山賢人の言葉が全てを物語る。 シーズン途中西武から阪神にトレードでやって来た杉山は、 生まれて初めて 「どんなに調子がよくても、抑えられないチームがいる。 そのチームの名は、中日ドラゴンズ」 という衝撃の事実をついに知ってしまったのだ。泣くな杉山、君が悪いんじゃない、 ドラゴンズが強すぎるのだ。 中日はそんなこれから一皮むけそうな杉山から初回に立浪・山崎のタイムリーで二点を先制、 中盤に中押しで山崎のタイムリー、 終盤にダメ押しのゴメスのスリーランで阪神投手陣を粉砕、 投げては後半戦に備え他球団のマークを外すためここまで二ヶ月半 「勝てないフリ」を続けていた山本昌が 「さすがにチームが連勝中だし、ここらでちょっと勝っておくか」 と久々に本気で投げてしまい、七十四日振りの四勝目。 チーム六連勝で貯金を今季最多の“十三”とした。

七月十一日(日) 李、九回サヨナラで中日七連勝!

○中2x−1神●
(門倉→岩瀬→サムソン→落合)

 「も、もしかしたら、あの強い中日に勝てるかも知れない!」。 人の夢と書いて「はかない」と読む。 中日に勝てるかも、という虎ナインの気持ちは九回、 プレッシャーとなってあらわれた。 阪神一点リードで迎えた九回裏中日最後の攻撃、 先頭打者の井上の放ったショートゴロを「こ、これを捕ればあの強い中日に…!」と焦った今岡が 痛恨のエラーで後逸、ノーアウトのランナーを出す。 代走の大西が二盗を試みると、「こ、これを刺せばあの強い中日に…!」と焦った矢野が悪送球、ランナーは三塁へ。 「こ、これを抑えればあの強い中日に…!」と焦ったリベラは渡辺に四球、 鈴木に犠牲フライを打たれ、中日はノーヒットのままついに同点に追いついてしまった。 「で、でもこのまま延長戦に持ち込めばまだ望みが…!」。 そして二死二塁、李の放った前進守備のレフト正面のヒットに、 二塁ランナー渡辺が強引に三塁を回ると、 焦った高波のバックホーム返球は大きく一塁側にそれ、 中日が逆転サヨナラで七連勝を決めた。 「中日に一つでも勝てるかも知れない」 という思いがいかに相手選手にプレッシャーを与えるか、 虎の夢と書いて五割と読ませる強竜炎の三タテ劇だった。

七月十三日(火) 立浪、非情の逆転タイムリー

○中4−3広●
(川上→岩瀬→サムソン→S宣)

 「もしここが僕が打ってしまえば、広島は球団記録タイの十三連敗。 だけど、だけど、広島には広島の事情があるように、中日にも中日の事情があるんだ! 佐々岡さん、スミマセン!」。 八回裏、二死満塁から逆転二点タイムリーを放った選手会長・立浪の顔に笑顔は無かった。 同じ地域密着型のチームとして広島ナイン、そして広島ファンの皆さんに済まないという気持ちは痛いほどあった。 だが、優勝争いをしている竜軍に取って、 今は心を鬼にして勝利への道を突き進まなくてはいけない。 個人の感情に流される訳にはいかない。立浪は選手会長なのだ。 「ごめんなさい、佐々岡さん…。すみません、達川監督。そして広島ファンの皆さん…。 しかし、僕たちは広島の皆さんの分まで全力で戦い、必ずや優勝を手にします!」 と心に誓う、本意ならずとも泣いて馬謖を斬った竜戦士達だった。

七月十四日(水) 広島の連敗をストップ

●中0−1広○
武田)

 「ここで澤崎君を打ち崩すのは簡単だ…。 だがしかし、だがしかし本当にそれいいのか!音重鎮よ!」。 九回裏、二死一三塁の逆転好機にバッターボックスに立った代打・音に迷いが走る。 今日の広島は、前田の姿がスコアボードになかった。 前日に岩瀬が心ならずもぶつけてしまったダメージの影響なのか。 「前田君、すまない…」。 そんな竜戦士達の動揺が、スコアボードにゼロを重ねた。 この時点で二位読売は、ヤクルト相手に大量リードされ負けは確定。 何が何でも勝たなくてはいけない、そういう試合では無い。 ナゴヤドームレフトスタンドの「もう連敗はいらない!復活、広島野球!」 という悲壮なプラカードが音の目に入った。 「広島ファンの皆さん…。君たちはそうやって、いつ如何なるときでも選手を応援してくれた…」。 かつては広島で同じカマのメシを食い、喜びも悲しみも分かち合った音だけに、 涙でボールがかすんで見えない。 音は澤崎の渾身の球を引っかけ内野ゴロ、広島の連敗を「十三」でストップしたのだった。 試合には負けたが、ゲームセットの瞬間、広島ナインの無限地獄から開放されたような笑顔に、 ナゴヤのファンは敵味方問わず、温かい心からの拍手を送っていた。

七月十五日(木) 下位チーム相手に余裕の調整試合

●中1−9広○
今中→中山→正津→落合)

 「はーい、慌てない、慌てない。ひと休み、ひと休み」 と言ったのは一休さんという偉いお坊さんだ。 中日はこのあとオールスターまで、三位横浜と三連戦、二位読売との三連戦を控えている。 そうなれば「ここで休まなくていつ休む、ちょっとここいらで休憩しとこう」 と、先発に今季初先発の今中をもってきたのも「ナルホド納得」だ。 そんな首脳陣の意図を察したかのように、 今中は中継ぎ陣が気楽に投げやすい点差にしてわずか二回で降板、 後半戦に備え「今中はまだ復調していない」と敵の目をあざむく煙幕を張ると同時に、 このところ勝ち試合ばかりで出番の少なかった投手陣にも十分に調整の機会を与え、 万全の状態で明日からのAクラス直接対決に挑む。

七月十六日(金) 宣vsローズ、真っ向勝負!

○中2−1横●
野口→岩瀬→S宣)

 「バ、バカな一塁が空いているのにミーと勝負だというのか! …フッ、身の程知らずのコリアン・ピッチャーめ。 格の違いを思い知らせてやるぜ!」。 その数十秒後、横浜・ローズは「格の違い」を存分に味わう事になる。 中日先発・野口はいつも通りの 「何でそんなに打たれてるのに失点がそんなに少ないんですか?」 と敵を惑わず幻術投法で八回まで十安打ながら一失点、 味方の二点の援護をもらい、マウンドを二番手・岩瀬に託す。 そして中日一点リードで迎えた九回横浜の攻撃、 岩瀬が二つのアウトを取りながら四球と盗塁で二死二塁とした場面、 バッターは三冠王のローズ。 ここでセンイチ君は守護神・宣を出し、真っ向勝負をさせたのだった。 首位をひた走る王者・中日が、 貯金二くらいで大騒ぎしているチーム相手に逃げるわけにはいかない。 宣は期待に応え、マックス百五十一キロの全球ストレートでローズを空振り三振。 これにはローズも「オーノー、まいったぜコリアン・エクスプレス。俺の負けだ」 と、シャッポを脱がざるを得なかった。

七月十七日(土) 代打・渡辺、サヨナラタイムリー!

○中2−1横●
(山本昌→岩瀬→落合)

 「何故だ、何故中日はこんなにも接戦に強いんだッ!? いつも、いつもあと一歩のところでぇーッ!あああ、畜生ッ!」 と、横浜選手陣が歯ぎしりをするのも無理の無いこと。 強力な爆発力を誇り、相手を猛打でねじ伏せる戦い方しか出来ない横浜には、 中日のこの「接戦での強さ」が信じられないのだ。 だがしかし、考えてもみたまえ。 一流の武道家はその一挙手一投足に無駄が無く、 寸前の「見切り」を会得し常に緊張感の中で勝利をモノにすると言う。 一対一の同点で迎えた九回表・横浜の攻撃、二死二塁の一打逆転の場面で、中日・落合は 達人の「真剣白羽取り」にも匹敵する芸術的ピッチングでピンチを切り抜けると、 その裏、同じく二死二塁で中日は、 渡辺が「赤胴・真空斬り」にも匹敵する怒濤のサヨナラ・タイムリーで、 今日も接戦で横浜を粉砕したのだった。 達人にマシンガンは必要ない。ピストルでいかに正確に急所を打ち抜けるか、 勝負の心髄とは何かという事を、横浜ナインに実践をもって教えた竜戦士達だった。

七月十八日(日) 横浜を三タテ!

○中4−3横●
(門倉→岸川→正津→サムソン→落合→岩瀬→S宣)

 「ああ、あと一点!どうしてあと一点が取れないんだっ!?」 という横浜ファンの歯ぎしりで横浜港には季節はずれのビッグ・ウェンズデーが巻き起こる。 だがしかし、横浜に足りなかったのは「あと一点」ではない。 もし横浜があと一点を取ったなら、中日はもう一点取っただろう。 横浜が二点を取ったなら、中日もまた二点を取ったのだ。 「先頭に立つのはゴール前、ほんの数センチ手前でいいんだよ」と 言ったのは名人と呼ばれた武邦彦ジョッキー(現調教師)だったが、 本当に強い馬というのは五馬身も六馬身も離して勝つ馬ではない。 接戦、叩き合いを凌ぎきり、相手より数センチ先にゴールする事が「強さの証」なのだ。 Aクラス直接対決は三試合連続の一点差勝利で首位・中日が完全勝利。 中日はこれで、七月二日からヤクルト二タテ・読売二タテ・阪神三タテ・(ボランティア週間)・横浜三タテと、 はみごの広島を除くセ全四球団に四連続同一カード全勝、 貯金を今季最大の“十六”にすると共に横浜を借金ライフをプレゼント、 ベイの息の根を完全に止めたのだった。

七月二十日(火) 川上、心の動揺

読○8−4中●(ナマ観戦)
川上→大塔→正津→岸川→中山)

 「変わってしまったのか…人が変わる、そのイヤな瞬間を、 俺は君で味あわなければいけないのか…!」。 先発・川上の心は試合前から動揺していた。 十八日の阪神−読売戦、 川上の無二の親友であるウルフ高橋が 「あれは絶対にセーフです。見えていました」 とウソをついた。 「高橋よ、いつからお前はそうなってしまったのだ。 六大学の頃の、あの野球に夢中だった俺達にはもう帰れないのか。 勝っても負けても試合終了後は互いに握手を交わした。 お前はあの試合終了後、お互いベストを尽くしましたね、とメイと握手を交わす事が出来るのか。 どうなんだ、高橋よ!」との川上の心の叫びが痛いほど聞こえて来る。 親友が間違った方向に向かってはいまいかと心配する友達思いの川上は初回から制球定まらず、 川上−高橋対決にしては珍しく四球を出すわ、タイムリーを打たれるわと心の動揺隠しきれず、 わずか二イニングでマウンドを降りてしまった。

七月二十一日(水) 一発合戦で読売を粉砕!

●読4−6中○
武田→岩瀬→落合→サムソン→S宣)

 「お前は剣と銃、どっちが得意だ?」「銃だ」 「ならば決着は銃で決めよう」「な、何だと?!…お前の不利になるんだぞ!それでもいいのか!?」 「自分に取って不利なもので勝ってこそ、完全なる勝利と言えるのだよ、セバスチャン」 「くっ…!こ、後悔するなよ!」。 そんな中世の西洋の決闘風景を誰もが思い浮かべただろう。 この日の読売−中日戦は「一発合戦」、 得点が全てホームランで決まるという、まさに「読売の土俵」の上での戦いだった。 しかし、相手の土俵に乗って勝ってこそ真の勝利。 読売は村田真・高橋・後藤のホームランで四点、 中日は井上・ゴメス・福留のホームランで六点と、 同じホームラン数ながら首位に立つチームとそうで無いチームの「格の違い」を存分に見せつけ圧勝、 ただでさえ投手陣で圧倒してるのに、打撃陣でも読売など相手にならない事をバットで証明、 竜の尻尾を指先だけでも触れるのには必須条件だった読売の「対中日三タテの夢」を無情に粉砕し、 「完全なる勝利」をものにしたのだった。

七月二十二日(木) 子供の教育によくない読売を撃破!

●読2−11中○(ナマ観戦)
野口→宣→落合)

 「あそこへ打たれたのはボクの責任ですから。 もっと楽にアウトを捕れるところに打たせなきゃいけない」。 この野口の謙虚で堂々たる男意気の、せめて千分の一でも読売ベンチが持っていてくれたなら、 こんなブザマで格好悪い結果にはならなかっただろう。 球審・杉永による度重なる読売有利のジャッジが続いたこの試合、 八回にはついに審判部長の田中一塁塁審までがライト井上のダイレクトキャッチを 「フェアー!」などと言いだした。夜とはいえまだ八時半、寝言を言うには早すぎる。 東京エッグの五万五千人の目とテレビカメラが証人のこのミスジャッジに、 監督・コーチ、それに内外野の選手までが一斉に塁審の周りに集まる。 「ちゃんとジャッジしてくれ!」「俺たちは正々堂々とした勝負がしたいんだ!」。 読売ベンチは中日の抗議を見ながらニヤニヤニヤニヤ、「してやったり」の卑屈な笑みを浮かべた。 ライトスタンドの読売ファンはこのインチキを「見て見ないふり」をし、「帰れコール」を合唱した。 何という厭らしい卑屈な態度、何というフェアプレー精神の欠如。 この態度に竜ナインは怒り爆発、「やりたくはなかったが、KO勝ちと行くぞ!」「応!」。 ついに本気を出した竜打線は九回に猛打爆発、一挙七点を奪い読売を粉々に粉砕し、 「こんな卑怯な事をしてると、ろくな事になりませんよ」 という事を、全国中継のテレビを通じて全国のチビッコに教えたのだった。

オールスター

七月三十日(金) 関川、サヨナラ犠飛!

○中2x−1ヤ●(ナマ観戦)
(川上→岩瀬→落合→サムソン)

 「おお!まさしくあれこそは、天翔ける竜のようじゃないか!」。 ナゴヤドームの天井高く打ち上げた関川の犠牲フライが 唸りをあげてライト・佐藤真のグラブに突き刺さる。 それを見て三塁ランナー・福留が稲妻のようなスタートを切る。 この瞬間、ヤクルトの「中日に勝ちたい」という人の夢と書いて儚い思いは無惨に打ち砕かれた。 この十回裏まで一対一のまま辛抱したのは、勿論 「接戦をモノにするドラゴンズ野球」を徹底させるため。 オールスター明けと言う事で、ともすれば「やっつけ野球」になりがちな選手の気持ちを引き締め、 送りバント、犠牲フライといった細かい職人仕事をきっちりこなす緻密な野球を再確認するのが目的だ。 そのために敢えて接戦に持ち込み、ワンチャンスでサヨナラ勝利をモノにするとは何とも粋でニクらしい、 ファンサービス満点の演出だ。 中日は今季六度目のサヨナラ勝ち。こんなにサヨナラが多いのは、 もちろん秋のナニのときに胴上げ投手のマウンドに駆け寄る、 ベンチ飛び出しタイミングのリハーサルを兼ねているからだ。

七月三十一日(土) 対ヤクルト感謝セール

●中4−8ヤ○(ナマ観戦)
武田→大塔→岸川→中山)

 「ヤクルトにはさんざんお世話になってしまったな、ここいらで恩返しをしないと」。 義理と人情に厚い竜戦士が、ヤクルトの現状を黙って見過ごせるはずがない。 ここまで対ヤクルトの対戦成績は十三勝四敗。 もしこのマイナス九が無ければ、ヤクルトは貯金五となって充分二位争いに参加出来たのだ。 もはや優勝の望み薄いヤクルトに我々が出来ること。 それは個人タイトルだ。 武田・中山の両投手は本塁打王争いをするペタジーニにそれぞれ二十七号・二十八号ホームランとなる甘い配球をプレゼント、 さらに佐藤真にも連続安打記録を“二十”に伸ばすサービスボールをお中元替わりに贈れば、 六対〇とリードされた八回、思い出したように連打を重ね四点を奪い、 巧みに点差を二点としたところで本来なら登板する予定の無かった高津を引っぱり出し、 「今季絶望の大魔人に代わり、SPのタイトルでも取って下さいよ」 とセーブを付けさせるなど大盤振る舞い。 ヤクルトに少しでも恩返しがしたい、 そんな竜戦士達の優しさがにじみ出た「対ヤクルト感謝セール」だった。

Dragons at Jul.1999


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