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D's April !

四月前半_1_2_3 _4_5_6_7_8_9 101112131415
中日 .


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四月後半
1617181920 212223242426 27282930
中日


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(○…勝利、●…敗北)

十六勝六敗(一位)

四月二日(金) 逆転・逆転、また逆転!

○中4−3広●
(川上→岩瀬→正津→落合→S宣)

 「ちくしょう、見せびらかしやがって」と広島ベンチ及び応援スタンドが歯ぎしりしたのも無理はない。 広島に一点を先制された中日は、五回に山崎・井上・中村の三連打で逆転すると、 それまで五回三分の二を三安打無四球に抑えていた先発・川上を惜しげもなくルーキー・岩瀬にスイッチ、 自慢の投手陣を見せびらかしに出た。 しかし、この岩瀬が誤算でワンナウトも取ることなく三連打を浴びKO。 一旦は広島に逆転されたが、春季キャンプで人間の肉体を限界を超えて練習した挙げ句身も心もボロボロの広島と、 週に一回きちんと休みをとり人間の出来る範囲内で鍛えあげてきた中日とでは「強さの質」が違う。 取られたら取り返す中日は六回裏にきっちり逆転、 最後は落合→宣と「これでもか、これでもか、これでもか」といった豪華リレーを見せびらかし広島に快勝した。

四月三日(土) 前田、スクランブル!

○中2−1広●(ナマ観戦)
野口→落合→宣→S前田)

 「いったい、この投手層の厚さは何なんだ!?」 と、広島ファンの歯ぎしりで列島中にハウリングが起きそうな第二戦。 二対一と中日一点リードで迎えた九回、抑えの切り札・宣が思わぬ右太もも裏痛のアクシデントに見舞われた。 ブルペンでは一人も投げておらず緊張の走るナゴヤドームだが、 急遽マウンドに上がった前田は「俺に投球練習なんざいらないぜ!」 とでも言わんばかりの完璧なピッチングで、金本・町田を赤子の手をひねるようにきっちり始末、 開幕二連勝をモノにした。宣がアクシデントに見舞われてもいくらでも代役がいるドラゴンズ投手陣の層の厚さに、 広島ベンチもただただ呆然とするばかり。 広島ファンも 「達っちゃんのせいじゃない。ドラゴンズが強すぎるんだ」とあきらめ顔だ。

四月四日(日) 中日、破竹の三連勝!

○中10−2広●
山本昌→中山→島崎→岩瀬)

 「これは勝ち星の独占禁止法違反だ!」 と、他球団から不満のブーイングが聞こえて来そうなほど手のつけられない中日が破竹の開幕三連勝だ。 広島は一、二戦の連敗で 「ダメだ!今の中日には何をどうやっても叶わない。 こんな強い相手には逆らわず、次からの阪神戦に備える事にしよう」 とでも言わんばかりの先発・レイノソ。 事実上の「白旗」をあげて降伏の姿勢を示す広島だったが、 中日打線はそんな広島を容赦なく大量十得点で粉砕、 猛爆の開幕三連勝を飾った。 一点差ゲームにも強ければ、大量得点の爆発力もある中日に、 「こんなチームにどうやって勝てばいいんだ」 とセリーグ各チームのスコアラーもただただ震え上がるばかりだ。

四月六日(火) 武田、セ・初登板・初完封!

○中9−0横●
武田)

 「先生!ヘソが、ヘソが燃えるように熱いんです!」 と、名古屋市内のあらゆる病院がこの日、ヘソに異常熱を感じる奇病患者で大わらわになった。 これと言うのも、何しろ開幕からここまで三連勝と波に乗る中日が、昨年の優勝チーム・横浜相手に中村タケシの満塁弾など猛打爆発・九得点の猛攻、 投げてはダイエーから移籍の武田が横浜マシンガン打線を赤子の手をひねるように九回完封劇を見せたのだから、 名古屋市民ならずとも「ヘソが茶を沸かしてしまった」のも無理はない。 「ポッポー!ポポー!ポッポポー!」と遠い夜空にこだまするほどちゃんちゃら愉快にヘソが茶を沸かす中日開幕四連勝に対し、 横浜は開幕から四連敗と忘れかけていた本来の姿をようやく取り戻しつつあり、 現実を受け止められない昨年夏以降ファンになった俄かベイファンの悔し涙で関東全域は大雨、 ヤクルト−読売戦が中止になるほどだった。

四月七日(水) サムソンで五連勝!カズキ四打点!

○中4−1横●
サムソン→前田→中山→落合)

 「いやあ、このところ勝利の美酒ばっかり売れて、ヤケ酒の方がサッパリ売れないんですよ」 と、名古屋市内の居酒屋が揃って困惑顔をするのも無理はない。何しろ中日が開幕から勝ち続けなのだ。 負けないのだからヤケ酒の売れ行きもサッパリに違いない。 さすがにこの日は、元同僚の権藤監督率いる横浜がここまで四連敗中だけに 「こりゃあ、勝ち星のひとつもくれてやらんといけんな」 とばかりに先発にサムソンを差し出した中日だったが、 センイチ君の意図を察した山崎氏がチャンスで巧みに凡退を繰り返してはみるものの、 一塁ベンチが背中で見えない左バッターの井上が「カキーン!」「ドカーン!」 と快音を響かせ、一人で四打点をあげてしまうのだから仕方がない。 さすがに二試合完封負けは可哀想かな、 とばかりに九回、 リリーフの落合が狙いすました配球で横浜に一点をプレゼントするのが精一杯だった。 なお、今後もその売れ行きが心配なヤケ酒だが、 横浜市内でバカ売れなので製造元の方では特に心配はしてないようだ。

四月八日(木) 鶴田も復活!開幕六連勝!

○中6−1横●
鶴田→岩瀬→正津)

 「『それペナ99!』なんですけど、あんなにお気楽脳天気な事書いてて、 負けたときはどうするつもりなんですか?」 といった問い合わせメールが山のように編集部に殺到しているが、 そんな事を聞かれても、負けないんだから答えようがない。 「日本で唯一メジャーに近い球団」とベイファンのみが絶賛する最下位・横浜は初回、 先頭の石井啄がいきなりツーベースも、 九九年の燃えドラ(発売未定)の歌詞には「♪権藤、メジャーのスピリット〜」 とでも歌われそうな「送りバントはしない」いつもの方針で、 後続が三人がことごとく凡退に終わり得点にならなければ、 四回にも先頭のローズが出塁し後ろが三者凡退、 六回には先頭の鈴木尚がツーベースで出塁しながら後ろが三者凡退と、 もらったチャンスをペシャン・グシャ・ペッタンコと潰し、 ここまでの連敗が伊達ではない事を見せつけた。 中日は先発・鶴田が落ち着いた投球で九四年以来実に五年振りの勝ち星、 「炎の復活劇」で開幕六連勝に花をそえた。

四月十一日(日) リーグ・タイ!開幕七連勝!

●神3−6中○
(野口→落合→前田→中山→岩瀬→S宣)

 「も、もう勘弁してくれよ!セ・リーグの火を消す気かぁ!」 と、読売・横浜等の弱小Bクラス球団のファンから悲鳴があがる中日開幕六連勝。 この日も好調・中日打線は苦手の阪神・川尻を攻略し一対三と二点リード。 しかし迎えた八回裏、ランナー一塁で阪神は打席に代打・大豊を送って来た。 中日ナインに複雑な思いがよぎる。 「大豊さん…阪神で干されてるんですってね…。俺達は知ってますよ。 大豊さんがキャンプ中ずっと、苦手の内角球打ちの練習をしていた事を」。 落合の放った内角直球は、鮮やかなライトスタンドへの同点弾となり、 子供のように無邪気にはしゃぐ大豊の姿を見て、心なしか中日ナインにも笑みがこぼれていた。 さて、元チームメイトに励ましのプレゼントを贈ったあとはもう本気を出してもかまわない。 九回、一死満塁の大ピンチを中山が注文通りのゲッツーで阪神打線を封じ込めれば、 延長十回には井上の鮮やかな三点タイムリーが飛び出し、 リーグタイ記録となる「開幕七連勝」を鼻歌混じりで決めたのだった。

四月十三日(火) セ・新記録!ヤマ完投で開幕八連勝!

○中6−1ヤ●
山本昌)

 「アイツは悪魔のようなヤツだ」と一部で高い評価を受けている立浪選手会長の、 その本領が早くも一回に発揮された。 一回裏、二死一二塁でむかえた立浪の打席、立浪はいつも通りチャンスでの弱さを痛烈に印象付けるボテボテの一塁線ゴロを放ったが、 どう考えてもアウトのタイミングのハッカミのタッチをスリーフィートラインすれすれの動きでかいくぐり、 実にインチキくさい悪魔のような内野安打を勝ち取った。この怪しいプレーにヤクルトベンチは何の抗議もせず、 「んん、野村監督なら最低三十分は抗議するこのプレー。今年のヤクルトはプレイバック・関根潤三」とプレッシャーの解けた次打者の山崎が、 バックスクリーンに炎の満塁アーチを叩き込み、首位決戦はわずか一イニングにて試合終了。 その後は中日先発・山本昌が二回から八回までパーフェクトの好投で、九イニングを一失点、 セリーグ記録となる「開幕八連勝」を楽ちんちんで達成した。 ここまでリーグ二位と「春の椿事」を敢行してきたヤクルトも、 強すぎる中日の前には、その命はウスバカゲロウよりもはかなかった。

四月十四日(水) 七回大逆転!開幕九連勝!

○中11−6ヤ●
(川上→正津→落合→岩瀬)

 「も、もう貯金がスッカラカンです!」と、関東・関西・中国地方の主要都市が一大パニックになっている。 それもそのはず、全国の貯金という貯金が、全てナゴヤに集まってしまったのだ。 この日は先発・川上がヤクルト打線に六イニング五失点でKOされたものの、 これまで相手ピッチャー陣の「新・恐竜打線の中の心のアオシス」となっていたはずの ルーキー・福留が四安打三打点の大活躍、チームの開幕九連勝に珍しく貢献した。 悪夢の逆転負けを喫した二位ヤクルトはこれで五割と貯金を吐き出し、 「セ界の金融バンク」となってしまった中日はもはやぶっちぎりの独走態勢。 唯一気がかりがあるとすれば、九回ゲームセットの瞬間、 何故か福留がまだフィールドにいた事くらいだ。

四月十五日(木) 武田、二試合連続完封!開幕十連勝!

○中3−0ヤ●
武田)

 「据え膳食わぬは男の恥」。 首位決戦第一戦は初回で勝負を決められ、第二戦では先行しながら終盤大逆転を食らい 「ああ、こんな強いチームに勝とうだなんて、俺がどうかしていた」 と反省したのかヤクルトは切り札・伊藤智を次の阪神戦に備え温存、 第三戦の先発に田畑を差し出し事実上の降伏宣言をして来た。 中日はこの据え膳(=田畑)をきっちりいただき、 二回に井上の十試合連続安打となるタイムリーなどで三点を先制、 そのまま武田がヤクルト打線を完封し逃げ切り、 セ・リーグ記録をさらに更新し開幕からの連勝を“十”とした。 開幕で広島に三連勝した時点では 「中日は相手に恵まれましたね。広島は状態最悪ですから」 との見方が読売を優勝候補筆頭に挙げるような仰天解説者の間では一般的だったが、 これで中日は読売を除く四球団に全勝負けなし、 気がつけばあの広島が二位に。

四月十六日(金) 日本タイ記録!開幕十一連勝!

●読1−6中○
サムソン→中山→岩瀬)

 「中日がサインを盗んでるんだよう、 だってボクが打たれるはずがないもん、きっとサインを盗んでいるんだよう」 と読売先発・ガルベスが泣き言をたれるのも無理はない。 今日も中日は新・恐竜打線が大爆発、 ルーキー・福留の一号ホームランなどガルベスをタコ殴り六得点を挙げ、 投げてはサムソン→中山→岩瀬で九イニングを一失点、 日本タイ記録となる開幕十一連勝をサムソンなんかで達成してしまったのだ。 試合では全くいいところのなかった下品外人・ガルベスは、 「(中日は)去年と同じメンバーなのに、今年になって打つなんて変だよう、 きっとサインを盗んでるに違いないよ!パパに言いつけてやる!」と訴え、 早速翌日にはパパ(読売・山室球団代表)が中日球団に 「息子が下品な事を言って申し訳ありませんでした」と平謝りで謝罪するなど、 流石ポゾ(横)に「あいつはドミニカの恥さらしだ」とまで言われた「らしさ」を試合後に見せつけていた。

四月十七日(土) 夢、破れる

○読7−3中●(ナマ観戦)
野口→前田→正津)

 「終わった…。何もかも…」。 十二試合目、ついに開幕以来続いていた中日の連勝が“十一”でストップした。 この負けはただの一敗ではない。大きな大きな敗戦だ。 名古屋の街を絶望の闇が包み、人々は悲観に暮れる。 空はどんよりと曇り、嘆きの雨で翌日の皐月賞も重馬場だ。 夢が夢で終わってしまった瞬間。 何しろ、この敗戦によりドラゴンズの勝率は十割→九割一分と大幅にダウン、 このままでは百二十四勝十一敗と、 なんと年間で十一個も負けてしまう計算になるのだ。

四月十八日(日) ゴメス、ワンマンショー!

●読7−9中○
(鶴田→正津→岩瀬→落合→S宣)

 「トンネルを抜けると、そこにはレフト李がいた」 と、中日ファンが川端康成のような気持ちになったのは三回裏、 二死満塁からの清原の討ち取ったサードゴロが、ゴメスの股ぐらを抜けていったときだった。 この日放送された日本テレビ(=読売)がセ五球団からの同情をひくために企画した『雷波少年』の 「熱狂的読売ファン・読売が勝つまでメシ食いません!」のコーナーで、 餓死寸前ドクターストップがかかった読売ファンへのお見舞いの気持ちだったのだろう、 優しすぎるゴメスの愛情あふれるタイムリーエラーでほんの一時的に読売にリードを許した。 しかし、この一点差の場面で相手がマウンドに岡田を送ってくるようでは 「逆転するな」という方が無理と言うもの。 中日は五回にゴメスの三打席連続ホームランで岡田を打ち砕き再逆転、 さらに柏田→入来智→三沢とお馴染みの投手リレーが続くようでは、 今の中日打線には「ダメ押しするな」と言う方が難しい。 八回に李が三沢から二点タイムリーでうっかり突き放してしまい、 このカード二勝一敗と勝ち越しせざるを得ず、 倒れた読売ファンの気持ちに応えることは出来なかった。

四月二十日(火) 井上まで四時間三十八分

●ヤ2−5中○(ナマ観戦)
(山本昌→中山→岩瀬→正津→落合→S宣)

 「ううっ、まるでヘビの生殺しだ。殺すなら殺せ。どうして中日は決めに来ないんだ!?」 と、ヤクルトベンチ、 そして神宮球場ライト側スタンドのヤクルトファンがイライラするのは当然だ。 延長に入り山本樹→プロ初登板五十嵐とつないでくるヤクルトに対し、 中日は岩瀬→正津→落合と、この継投だけで既に勝負の行方が見えてしまっているのにも関わらず、 十回、十一回とチーム打率三割を誇る新・恐竜打線がまるで「何かを待っている」かのように沈黙、 試合時間が四時間を過ぎても動く気配がないのだ。 そして迎えた十二回表、そのときが来た。 ここまで四タコだった井上が、ようやくお待たせの「開幕十四試合連続ヒット」をセンター前に弾き返したのだ。 それまで「井上がまだヒットを打ってないんだから、ここで試合を終わらせるわけにはいかんな」 と沈黙を守っていた竜打線がこれを合図に爆発、 李の勝ち越し二点タイムリー、関川もとどめの一点を奪い、 最後は宣が「どん!どどどんどん!どんよる!」と締め、再び連勝街道をスタートさせた。

四月二十一日(水) 川上、第一課題クリア

○ヤ6−5中●
(川上→中山→落合→正津)

 「同じ相手に二本打たれちゃいけませんよね」 と、前回の登板でスミスに浴びた二本のホームランを反省していた川上だったが、 今回はきっちりスミス、ペタジーニにそれぞれ被弾と、「一人一本まで」の自己目標をクリアした。

四月二十二日(木) 五対〇をひっくり返す!

●ヤ6−7中○(ナマ観戦)
(武田→古池→正津→落合→S宣)

 「俺の名は拓一。長所は打たれても打たれてもヘコまないとこ」。 一昨年はローテーションの一角として、 球場のお客さんを早々に帰宅させる事でドーム周辺の混雑緩和に貢献していた古池だが、 この日は先発・武田が三イニング五失点と気持ちよくKOされたあとに出番がやって来た。 古池を出すほど試合を投げていたセンイチ君だったが、意外にスイスイ抑えている生まれ変わったリニューアル古池を見て六回、 ナインに「この試合、ひっくり返すぞ!」と号令を出すと、 古池がどれだけ生まれ変わったのか傍観するため敢えて沈黙していた竜打線が一気に爆発、 終盤に山崎のスリーランなどで一挙七点を奪い、本当に試合をひっくり返してしまった。 試合後、心まで負け犬になってしまったヤクルトファンが若松監督に「ちゃんとやれ!何やってんだよ!」とコーラを浴びせかけるハプニング。 若松が悪いのではなくドラゴンズが強過ぎるのが悪いのだが、 それにしてもこの悪質なファンの行為には、同じヤクルトファンからも 「一体何という事をしでかすんだ!ヤクルトじゃなくコーラだなんて!」 と非難囂々だ。

四月二十三日(金) 七千人パワー

○広3−2中●
サムソン→前田→中山)

 「い、いったいこれは…」「噂には聞いていたが…」「ま、まだ四月半ばなのにッ」 と竜ナインを動揺させたのは、広島市民球場の「観客七千人」という驚天動地の数字だった。 いかに平日とは言え金曜日の夜、 にも関わらず日本野鳥の会ならものの数十秒で全員をカウント出来てしまうだろうこのガラガラのスタンドに、 竜打線は涙でボールがかすんで見えず、 「広島は頑張れば出来るんです!だから土日はもっと球場に来てください、広島市民の皆さん!」 とでも言わんばかりの友情溢れる凡打の山で、 三連戦緒戦の勝ち星を広島にプレゼントした。

四月二十四日(土) 中日、今季初の連敗

○広10−2中●
野口→古池→前田)

 「昨日負けた甲斐があったな、今日は昨日の倍以上のお客さんが来ているじゃないか」 と市民球場のスタンドを見上げ、心配性の竜ナインもひと安心だ。 さすがに土曜の夜だし、勝てば五割復帰とまだまだ望みのある地元・広島が、 首位・中日を引き入れての三連戦、その大事な二戦目だけあり、 前日とはうってかわった大観衆一万六千人を集めた。

「でも、まだ平日の神宮より少ない」


 音・山田和の無償トレードなど広島には恩義のある中日だけに、 ナインがこの現状に涙で打ち震えないわけはない。 先発・野口は打たれも打たれたり大量九点を献上、 六回からは生まれ変わったリニューアル古池が登板、 既に試合の行方は決した事もありついつい本気を出し打者五人までをバッタバッタと切って取ったが、 ネクストバッターズサークルにここまで三安打の金本を見るや ピッチャーゴロエラーで浅井を塁に送り出し、 金本にサイクルヒットをプレゼントするなど広島球場を大いに盛り上がらせるファンサービスを見せた。 「広島はこんなに打てるんですよ、強いチームなんですよ。 だから明日の日曜こそは試合を観に来て下さい!」。 連敗はしたものの、球場を去る竜ナインに広島の夜風はやさしかった。

四月二十五日(日) 広島に感謝を込めて

○広4−1中●
鶴田→正津→岩瀬→前田)

 「セガサターンだってプレイステーションだって値下げしたじゃないか! 中日もそんなに儲かってるんだったら、勝ち星を還元すべきだ!」 との声があちこちから聞こえて来る九九年ペナントレース。 自分のことだけでなく球界全体の事も考える中日は、 「差益還元セール」と称して開幕三連勝とエンジンをかけてもらった広島に、 三勝分の勝ち星をキャッシュバックした。

四月二十七日(火) 猛打爆発!長良川ドラゴンズ祭り!

○中13−5神●
山本昌→中山→岩瀬→古池)

 「な、なんだこの燃えるような暑さは!?このままでは誰か焼け死んでしまうぞ!」 というほどの熱気に包まれたのは岐阜県営・長良川球場だ。 この前は広島市民に少しでも活気を取り戻させようと友情の三タテをプレゼントした中日だが、 今回は準・地元の長良川、思う存分本領を発揮出来る。 先発・山本昌は四月十一日の対阪神一回戦で落合が元同僚の大豊にツーランをプレゼントした事で 「これでは矢野に不公平」とばかりに二回に矢野にツーランを贈り先制されたが、 義理を果たしたそのあとは、五回から打つわ打つわの「ドラゴンズ祭り」だ。 開幕二十打席連続ヒットの井上の猛打賞を始め、新・強竜打線は二十二安打十三得点と、 球場で売ってるビールが沸騰するほどの盛り上がり振り。 あまりの暑さにラジオ日本の解説・高木守道氏はアナウンサーとのやり取りで、

    アナ「先程のゴメスのタイムリーの前、星野監督が英語でアドヴァイスしたそうですよ」
    守道「ほう、英語で」
    アナ「リラックス、リラックス、と耳元で囁いたんだそうです」
    守道「それにゴメスが、分かりました、と日本語で答えたそうですよ」
 と、年に一度あるかないかの守道ギャグを炸裂、 熱気あふれる長良川に涼し気な風を送り込んでいた。

四月二十八日(水) 川上、お待たせの今季初勝利!

○中4−1神●
川上→岩瀬→落合→S宣)

 「竜軍包囲網?ノムさん、今までは読売包囲網言うとったじゃないか。 そんな事いってると友達なくすぞ」と、 センイチ君から「絶縁宣言」が飛び出してしまっては阪神ナインも黙ってはいない。 まずは先発・吉田豊彦を始めとする投手陣が 福留の新人王を強力にプッシュする猛打賞をプレゼント、 さらに井上の開幕連続安打を“二十一”に伸ばすツーベースを差し出すなど実に協力的。 打者陣もここまで勝ち星のなかった川上に散発三安打とすっかり息をひそめ、 「センイチさん、ウチの監督と仲良くしてやって下さい」 との心配りを随所に見せ中日に連敗した。 なお、この日本塁打→スリーベース→ツーベースとサイクル安打まであとヒット一本とせまっていた福留を 七回に久慈に交代させた事についてセンイチ君は、 「ふ、福留の記録?チームの勝利が優先や」 と、いつもの癖でついうっかり代えてしまった訳ではない事を泳いだ目で主張した。

四月二十九日(木) 友情を再確認

●中2−3神○
(武田→岩瀬→落合)

 「ノムさんには赤っ恥をかかせてしまったな。それもこれも三連戦緒戦の前に 『ドラゴンズを三タテするゾ!』 なんて夢のような事を言ってワシらを怒らせたノムさんが悪いのだが、 昨日は虎ナインの熱い心配りでウチの可愛い川上に初勝利をプレゼントしてもらった。 しょうがない、三タテだけは勘弁してやるか」 と、男・センイチの仏心がくすぐられる。 今日ばかりは阪神に塩を送り、ノムさんとの友達関係を再確認したドラゴンズだった。

Dragons at Apr.1999



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