INDEX

47RONIN


今日は『パンズ・ラビリンス』の話をします! (前回やったやないか!) (いやこの映画は僕は大好きで、熱く語りたかったのに、 山崎パンのダジャレで潰してしまい、 本当に話したいことが話せなかったのです!) (だから『47RONIN』のスペースを借りてここでやります!) (なんでダジャレで無駄に使った!) (その場の勢いってもんがあるでしょう!) (『47RONIN』の立場は!)(ない!)

いや、でも本当にこの『パンズ・ラビリンス』って映画は大傑作で、 ギレルモ・デルトロ監督の作品では僕は一番好きですね(言うほど観てませんが)。 私が今まで観てきた映画、 そしてこれから観る映画を含めても、確実にベスト100には入ります! (広いなオイ!) (いやこれから同じような傑作が九十九本あるかも知れないじゃないですか!)

この映画本当に面白いので是非観て欲しいのですが (「この映画」というのは『47RONIN』じゃなく『パンズ・ラビリンス』です!) (『47RONIN』はまあまあ面白いけど、普通です!)(そういうこと言うな!)、 なるべくなら事前の予備知識ゼロで、 ネタバレを読んでしまうとラストの大感動シーンが台無しになってしまうので、 批評サイトとか読まないで観てくださいね! ウィキペディアでのチェックも禁止です!

ということで、これからネタバレしますね。(←オイ)


☆   ☆   ☆   ☆


先日、慶応大学の学生が自殺教唆で逮捕されました。 元交際相手にLINEで「氏ね」という文章を送ったら、 相手が本当に自殺した、という事件で、 これマスコミの大好きな「ネット殺人事件」 ってことで来週の月曜からワイドショーですごい玩具にされるでしょうね。

でも本当は「自殺ネタ」って大々的に報道しちゃいけないんですよ。 マスコミの自主規制があって、 自殺ネタをあんまりニュースで流すと、「自殺する人の気持ち、分かるよ!」 って人が出てきて、連鎖自殺が発生するのを防ぐためです (アイドルの岡田由希子さんが自殺したとき、 後追い自殺が増えたことがきっかけだと思うんですが、 あれ以来(特に有名人に関しては)自殺の背景・理由については報道しないことになったんですね) (「自殺する理由」が視聴者にとって共感を得るような場合、自殺者が増えるからです)。

死は肯定的に扱ってはいけない。 キリスト教でも「自殺者は天国にいけない」と、 キリストが言ってない事まで教義に含まれてます。 宗教は「死後の世界」を公認してるくせに、 自ら死後の世界に行くことは許してないのです。

だからアメリカ映画では「死を美化する」映画ってのはほとんど無いのですが (死が「美しいもの」として描かれたら自殺者増えちゃいますからね!)、 この『パンズ・ラビリンス』という映画は、 「死」というものがものすごく美しく描かれているのです!
「死ぬことで幸せになれる(こともある)」 ということを堂々と描いているのです!

「生きていても辛い世の中だから、いっそ死んだ方がマシだ」

そんな台詞を言う映画・ドラマ・流行歌は多々ありますが、 実際に「死んだら幸せになった!」という物語は、まあありません。 大抵の物語は 「辛くとも死ぬな!」 「生きていれば必ずいい事はあるんだ!」 と人々に希望を与え、死を否定し、生を肯定します。 「生きてさえいれば必ずいいことがある」なんて、誰も保証出来ないのに。

死を美しく描いてはいけない。 それで自殺する人が増えたら、人権団体に何を言われるか分からないから。 それこそ先の慶応大学の学生みたいに、 「自殺幇助」で訴えられるかも知れないですからね! (自殺幇助した慶大生の擁護ではありません) (ネットで詳細を見た感じじゃ、「お前が死ね!」って感じのクズ野郎です) (まあワイドショーでその辺は明らかになるでしょう) (自殺ネタはワイドショーでやっちゃいけないんだよ!)

『パンズ・ラビリンス』は、 「生きていてもろくな事のない世の中で、死ぬことで幸せになれる(こともある)」 ということを描いた、大変勇気のある映画です! (よくアメリカで公開出来たな、これ!)


☆   ☆   ☆   ☆


さて!
諸外国では倫理的な問題で「死を肯定的に描いた作品」は自主規制されてるわけですが!

『47RONIN』はハリウッド版『忠臣蔵』ということで、日本人からしたら 「アメリカ人に忠臣蔵の精神が分かるのか?」「大コケするに決まってる!」 と前評判がよくなく、実際に日本での興行は大失敗し、 「『47RONIN』、大コケ!やっぱり日本人の精神をアメリカが描くのは無理だった!」と ニュースでさんざん笑い者にされました。
「アメリカ人は忠臣蔵が分かってない!」

でも、僕はこの映画劇場で観たんですが、とても面白かったです! 『忠臣蔵』の精神をよく理解してるな、と思いました!

『忠臣蔵』は日本人なら誰でも知ってる古典なので、 ストーリーを書いても「ネタバレだ!」とか言われないと思うので書きますが (え!?いまさらネタバレとか気にしてんの!?) (今さんざん『パンズ・ラビリンス』のネタバレやったやないか!)、 『忠臣蔵』の精神、キモは、 「死ぬと分かっているのに仇討ちを行い、死ぬ」ってことじゃないですか!

これ、「死の肯定」ですよ!

そう、外国映画では「死の肯定」はしてはいけないルールになってるのに、 日本は「美しい死」が肯定されてるのです! 「切腹文化」です!

『忠臣蔵』は、最後は四十七士が全員切腹(=自殺)して終わるわけですが、 日本人はそれを「美しい死」と思うわけですよ! これはアメリカ人にはない感覚です! (さすが毎年戦死者よりも多い数の自殺者を出してる日本やで!) (だから『47RONIN』の批評で、 「アメリカ人が忠臣蔵を理解できるわけがない」というのは違うと思いました!) (この映画は正しく理解してます!) (誤解してるのは「アメリカ人に日本人が理解できるわけがない、 と思い込んで観に行かない日本人」です!)

「美しい死」を描く、 外国映画でそれをやってるのは『パンズ・ラビリンス』と『47RONIN』だけです!

(2014.02.22)


原題47Ronin
邦題47RONIN
公開/製作2013年/アメリカ
出演 キアヌ・リーブス(カイ)、真田広之(大石内蔵助)、柴咲コウ(ミカ)、浅野忠信(吉良上野介)
監督 カール・リンシュ

INDEX