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レミーのおいしいレストラン


「評論家というのは気楽な稼業だ。 危険を冒すこともなく、 料理人たちの必死の努力の結晶に、審判を下すだけでいい。 辛口な評論は、書くにのも読むのも楽しいし、商売になる。 だが、評論家には苦々しい真実がつきまとう。 たとえ評論家にこき下ろされ、三流品と呼ばれたとしても、 料理自体の方が、評論より意味があるのだ」

これは『レミーのおいしいレストラン』に出てくる言葉ですが、 いい言葉ですね!

料理評論家より料理自体の方が意味があるのだ! 映画評論家より映画自体の方が意味があるのだ! 野球評論家より野球自体の方が意味があるのだ!

野球評論家っているも偉そうにしてますよね。 江本の分際で落合をdisったり、 木俣の分際で岩瀬をdisったり。 他人の悪口やイヤミ、 普通の常識ある人なら言わないセンスのない不快な言葉でも、 評論家なら「辛口評論」って四文字を免罪符に出来ますからね! (かく言う私も人前では絶対言わないような罵詈雑言をテキストでは書いてるわけですが!) (ネット番長と呼んでください!) (いや番長っていうほど偉くないです! ネット腰巾着くらいです!) (イメージとしてはジャイアンの威を借るスネ夫、 マサルにひっついてるタカシです!) (誰やタカシって!) (じゃりン子チエに出てくる坊主頭です!) (一番イヤなヤツや!)

この映画には人の料理を片っ端から否定して潰しにかかるイヤなイヤな料理評論家が出てきますが、 これを見て僕が思ったのは『美味しんぼ』の山岡士郎ですね!

ま、山岡さんは自分で料理もするので料理評論家じゃないんですが、 彼の言動を見ているとこの男の目的は 「自分の嫌いな料理人を叩き潰し、この世界から抹殺する」 こととしか思えないのです!

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他人の無知をあげつらい、 公の場で晒しものにする。 これって近年ツイッター等でブームになってる 「バカッター炎上晒し上げ」と一緒じゃないですか!

知識なんてものは最初は誰だって無いんです。 それを自分がちょっとばかし知ってるからと言って、 知らなかった他人をdisる! さらし者にして世間の笑い者にする! 「この豚バラ煮込みはできそこないだ、食べられないよ」 とかわざわざ人前で言うことですか!?

『美味しんぼ』以前の漫画やドラマ・映画では、 「自分の知識をひけらかし、知識のない人を見下し、 人前で恥をかかせ、優越感にひたる」 というキャラクターは総じて悪人だったはずです。
それが!
『美味しんぼ』では正義のように描かれているのです!
正しい知識を持ってる人間こそが正義! 無知は罪で、 晒し者にして笑い者にして恥をかかせなくていけない!

他人の無知を嘲笑するツイートが公式RTで拡散されるようなダセェ世の中になっちまった、 その元凶は山岡士郎にあると思うのです!

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で、山岡士郎をdisることで晒し者にして恥をかかせて優越感を得る作業を終えたところで、 ついでに映画の話もしたいんですが(ついでか!)、 『レミーのおいしいレストラン』ってすごい面白いんですが、 ダメな人は最後までダメだと思います。

何でかっていうと、これ、「ネズミが料理を作る」って話で、 どんなに美味しくてもネズミが作った料理なんて食いたくないですよ! (それがネズミ差別だと言うのは分かってます!) (人種差別や男女差別をするような人間はクソです!) (生まれたところは皮膚や目の色で一体この僕の何が分かるというのか!) (そんなこと言うやつは来世はネズミに生まれ変わるぞ!) (俺の来世はミッキーマウスか!) (チビッコを食い物にしてガッポガッポやで!)

よく言われるたとえで言うなら、 「完璧にきれいに消毒処理した、 検尿に使った紙カップであなたはジュースが飲めますか?」 って話です!

無理です!

僕は口では「日中韓、仲良くすべきだ!」と平等主義者の振りをしています。 でも、まだまだ自分は差別主義者の片割れであることを思い知らされる映画でした。 検尿に使った紙カップでジュースが飲めるようになるその日まで、 まだまだ修行が必要です!

(2014.01.27)


原題Ratatouille
邦題レミーのおいしいレストラン
公開/製作2007年/アメリカ
出演
監督 ブラッド・バード
ヤン・ピンカヴァ

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