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LOOPER/ルーパー


これ、両親のいない超能力少年がスーパーパワーで次々とモノを破壊する、 人殺しもする、って話なんですが、 今なら「子供の人権を守る会」から

「こんなことは現実にはありえない!」
「うちの超能力少年が映画を観てショックを受けた!」
「学校で『あれ、お前のことだろ』、と嫌がらせされた!」
「ショックで二階に引きこもって、手首にはリストカットの跡が!」

って問題になるんでしょうね。(なんちゃって)(今日も時事ネタを絡めて行きます)

今、日テレのドラマで児童養護施設に悪い印象を与える(と児童養護施設が思い込んでる)ドラマがあって、 それに団体が抗議、放送中止を求めたことで、日本国中 「フィクションと現実を一緒にしちゃいけない」 「そんなこと言ったらドラマは何も放送できなくなる」 って言われてますね。私も 「ドラマと現実を混同するなアホ!」と思いました! イヤなら観るなアホ!

ところでこれについて、 『パカパカ行進曲』の宮川まさるさんがラジオで分かりやすい解説というか与太話をしてたんですが、 メディアのマーケティングには「PULL型」と「PUSH型」があると言うのです。

「PUSH型」というのは日本語で「押す」、 こちら側から何きかけなくても、向こうから押してくるというやつです。 テレビやラジオなんかがそうです。 テレビやラジオはこちら側が 「こういうのが欲しい」と言わなくても、向こうから情報を 「押し付けて」くる。

対して「PULL型」というのは「引っぱる、つまみ上げる」ですね。 書店に並ぶ書籍や、お金を払って観る映画、 自分から「これが観たい」と情報を求めていく。 自分が求めなければ目に入ることはない、それが『PULL型』です。

テレビは、自分が観たいと望まなくても電源を入れたら勝手に流れてくる。 目に入ってくる。 自分の意思とは関係なく、強制的に見させられる、受動的なメディアです。
一方で映画は、「お金を払って自分の観たいものを観る」=能動的なメディアだから、 テレビと映画は違うわけです。

だから「イヤなら観るなアホ!」という理屈は、 テレビのような「PUSH型」のメディアには通じないのです。 イヤでも勝手に流れて来るのだから。

「PUSH型」メディアは町を歩く人や道路を走る車のようなものです。 全裸で歩いたら捕まるし、 歩きスマホは死刑です(日本の法律は詳しくないのですが、確か死刑だったと思います)。 歩行者に向かってハイビームするような車は一発免停&廃車処分だと思いました。
人が道を歩くときに他人に気を遣う程度に、 テレビは視聴者に気を遣わないといけない。

もっとも、PUSH型のメディアにそうやって「配慮」を求めるのであれば、 PULL型のメディアは完全に「自由」であっていいと思います。 こちらが能動的に求めてるのだから、「青少年に悪影響」じゃないです! 好きで観ているのです! お金を払ってるのはこっちなんだから、何でもかんでも規制すんな! (いま東京都のエロ本規制について熱く語っています!)

ということで、PUSH型メディアとPULL型メディアという観点で考えると、 児童養護施設の言うこともちょっと分かるな、 と思った次第です。

あともうひとつ、 「このドラマはとてもよいドラマで、 最後はハッピーエンドになるから、 最後まで見て欲しい」ってテレビ局側の言い分について、 僕はとても違和感を持ってるのですが、 ドラマってハッピーエンドじゃないといけないの? (じゃあ『フランダースの犬』や『マッチ売りの少女』は放送禁止ですね!)

(2014.01.26)


原題Looper
邦題LOOPER/ルーパー
公開/製作2012年/アメリカ、中国
出演 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット(ジョー)、ブルース・ウィリス(オールド・ジョー)、エミリー・ブラント(サラ)、 ピアース・ガニォン(シド)
監督ライアン・ジョンソン

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