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太陽


日曜日、天皇陛下が社会人ラグビー日本選手権をご観戦になられて、 五郎丸という選手について「それは本名ですか?」とお尋ねになったそうですね!

翌日の新聞は、「陛下が五郎丸選手に興味を持たれたようだ」という書き方になるくらい、 皇室関連記事には気を遣わないといけません! (これ一般人なら「本名じゃなきゃ何だよ!」「源氏名かよ!」 「なんで社会人ラグビーが源氏名を名乗るんだよ!」と突っ込まれるところです) (中畑が同じこと言ったら「キヨシ、得意のおトボケ」「ギャグすべる」とか書かれますよ!)

ということで、僕も今から精一杯気を遣って書きますが!

『太陽』は、ロシア人監督の作ったロシア映画ですが、 舞台は日本で、出演してるのも外国人以外はみんな日本人です! (←空席以外は全部満席、応用編!)

主人公は、ヒロヒト。(うおっ、もうヤバい)

…やっぱ止めよかな…

ここんとこ、ニュースで流れるあんな出来事(国歌がどうの起立がどうの)や こんな出来事(竹島がどうの淡路島がどうの)(淡路島に問題は発生してない!)を見てると、 世間に「平成の尊王攘夷」的な空気が少し出てきていて、 ちょっとヤバい感じです。

日本人であることを誇りに思おう、ご先祖様を大切にしよう、 国旗掲揚・国歌斉唱、スタンダップ! 外国人の言うことはみんな嘘だ! 外国人は排除しろ! 軍事力を装備せよ! 天皇を敬え! 日本人の日本人による日本人のための国を作るのだ!

そんな右向きな空気の中、 「どうでもいいじゃん。どうせ誰も歌ってないし」 「だいたい国旗とか国歌とか誰が決めたんだよ、江戸時代にはなかっただろ?」 「日本とか外国とか関係なく、みんな仲良くやったらいいじゃん。なんでそんな排他的なの? お前ら国をあげてコミュ障か!」なんて言おうもんなら、 「非国民だ!」「不敬罪だ!」 と吊るされ叩かれ爪を剥がれ、火あぶりにされそうです! (だから言いません!)(言いませんよ!) (もしそういう事を言う人がいたとしたら、って話ですよ!)

『太陽』では、終戦前後の昭和天皇の日々を描いていて(ヤバい、相当ヤバい)

やっぱ止めます!(ヨウゾウの意気地なし!)


☆   ☆   ☆   ☆


うそぴょん。

『太陽』のレビューなんて俺以外にも書いてる人いっぱいいるじゃん。 僕もネット右翼の人とか気にしないでそのまま書きますね!

まあ簡単に言ったらこの映画は 「国民は私を神として崇めてくれるが、現実の私はひとりぽっちだ」 と、ヒロヒトが寂しくなるって話です!

ときには神であり、象徴であり、 人間ではない、世界でたった一つの「天皇という職業」につく天皇陛下は、 自由もなく、普通の暮らしも許されない、いつも孤独です!

彼に職業選択の自由はない、 思想の自由もない、 表現の自由もない、 選挙権もない、 世界でたった一人「ほかとは違う存在」の彼の気持ちを分かってくれる人はいない (彼以外に天皇はいないのだから!)。

国民は勝手に天皇を崇拝し、敬愛し、 現人神として「ほかとは違う存在」として扱う。 それに応えるため天皇は、「天皇を演じ」続けなくてはいけないのです!
国民の理想を裏切らないため、国民の期待に応えるために! 自分の人生を選べないのです!一生を「天皇」という役割に捧げないといけないのです!

天皇陛下を敬えば敬うほど、愛すれば愛するほど、それは陛下のプレッシャーとなり、 「団体戦なんて出すんじゃなかった。あの子いつもすっ転ぶ」 ってなるのです!

よく金田正一を「球界の天皇」だとか、 立浪和義を「金津園の帝王」、じゃなかった、 「中日の天皇」なんて言いますが、 それは「どんな願いでも思いのまま、逆らう者がいない絶対支配者」という意味合いで使われますけど、 天皇なんて何ひとつ自由にならない、 規則のままにしか生きられない、 不自由な職業ですよ!

テレビで梅宮アンナを見て「おっ、いい女。ちょっと部屋に連れて来い」 なんて出来ないし、 皇居にデリヘル譲を呼んで、茶色い小瓶に入った怪しい薬を嗅がせ、 昏睡状態にすることも天皇には出来ないのです! (いや、それは一般人にも許されてない)

太陽は生まれたときから太陽で、死ぬまで太陽として人々を照らし続けて行かなくてはいけない。 そこに人権はないし、自由もないし、独りぽっちです。 それでも太陽であることを止めることを許してはもらえない、 自分のために生きることが出来ない。

子供の頃は「天皇って仕事しなくても食わしてもらえて、ヘラヘラ笑って手を振ってるだけでみんなの人気者になれて、いいなあ」 なんて思ってましたが、全然そんなことはありませんでした! 多分世界で一番辛い職業です!

(2014.02.24)


原題(英題:The Sun)
邦題太陽
公開/製作2005年/ロシア
出演 イッセー尾形(昭和天皇)、ロバート・ドーソン(マッカーサー)、佐野史郎(侍従長)、 桃井かおり(皇后)
監督アレクサンドル・ソクーロフ

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