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ブラック・スネーク・モーン


世のオッサン諸君!
もし道端に若くて可愛いピチピチ・ギャルが裸で落ちてたらどうしますか!

まあ大体男子の95%は「もちろん拾って持って帰る!」って答えるでしょう! (僕は残りの5%の紳士なんで、きちんと交番に届けますよ) (そして6ヶ月後に自分のものとして引き取ります) (落とし主が現れたときは10%もらいます!)

『ブラック・スネーク・モーン』では、 南部の黒人のおっさんが道に落ちた裸のパツキン・ムチムチボインちゃん(最近こういう表現を少年チャンピオンで見ました) を拾うという出だしで始まります。

アメリカ南部は特に黒人差別の激しかったところで、奴隷解放運動にも最後まで抵抗した地域です。 ここでは黒人にとって白人は「かつてのご主人様」であり、虐げられてきた憎むべき対象であり、 恨みやつらみも相当あるでしょう (いや当事者から見ればそんなでもないかも知れないですけど) (ちなみに「犬に服を着せる」って動物虐待なのかそうでないのかといえば、 獣医さんによれば、「幼い頃からそういう習慣があるなら犬は服を着ることを喜ぶし、 そういう習慣のない犬は服を着せると嫌がる」んだそうです) (その習慣が当たり前に生活に馴染んでいれば、 そこには差別も虐待もないというわけです) (「犬は嫌がってる!」なんて犬飼ったことのないひとがギャーギャー言ってるだけですよ) (だから主従関係にあった黒人と白人の間に敵対感情があったかなんて、 当事者以外には分からないですね) (それはそれとして)。

白人様は貴族で黒人は奴隷! そんな土地で白人のお嬢さんが裸で落ちてるのですよ! 危険極まりない! サミュエル・L・ジャクソンにしてみれば 「今まで俺たちを見下してきやがった白人女め!俺のブラック・スネークをおみまいしてやるぜ!」 と思わない方がおかしいでしょう!(何言ってるだ俺)

で、黒人ファーマーのサミュエルは裸の白人娘を家に持って帰ります。 そして逃げられないよう、女を鎖で縛りつけるのです。 ヒュー! 何をする気だいサミュエル? これからお楽しみタイムかい!?

ところが、物語はこれからとんでもない展開になるのです。

黒人男のサミュエルは、 白人女のクリスティーナ・リッチーを箱に閉じ込め、 コントの修行を行います(!)。
サミュエルが笛を吹くと、 リッチーが箱の上部にあいた3つの穴から色とりどりの蛇(スネーク)を出す。 失敗したら笛でポカリと殴られます! ああ、痛い痛い!
厳しい修行の末、 箱からへびを出す芸「ブラック・スネーク・モーン」を完成させたサミュエルとリッチーは、 大道芸人として全米を回り一躍人気者に! スター・コメディアンへの道を進むのです!

そして世界的にも有名になった2人は、 三度目のワールド・ツアーで日本を訪れ東京の下町に感動、「アサクサ、ブラボー!」 「モンジャ・サイコー!」「ミソニコミウドン・デラウマイガヤー!」 と永住を決意します。 コンビ名も『東京コミックショー』に改名し、 浅草演芸場の人気者として末永く幸せに暮らすのでした。めでたし!めでたし!

それにしても、と僕は思ったのですよ。
あの銃とかバンバン撃ちまくって「ファック!ファック!」 言ってるワイルドなサミュエル・L・ジャクソンが今では 「は〜い、レッド・スネーク・カモン」って言ってる温厚なおじさんに(亡くなりましたけど)、 チビで巨乳でかわいいクリスティーナ・リッチーがあんな品のよさそうなご婦人になるだなんて。 ものすごいイメージ・チェンジです。昔の印象は全くありません。

つまりこの映画は、サミュエルとリッチーがあんな気のよさそうな夫婦になってしまったように、 「人は、変われるんだ」ってことを言いたいのだと思います。


(2012.4.20)

原題BLACK SNAKE MOAN
邦題ブラック・スネーク・モーン
公開/製作2006年/アメリカ
出演 サミュエル・L・ジャクソン(ラザラス)、クリスティーナ・リッチ(レイ)
監督クレイグ・ブリュワー

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