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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド


まあ僕も煩悩のかたまりみたいな人間ではあるんですけども高野山の修行僧が過酷な荒行の末に108の煩悩を打ち消し一切の欲を克服しようとしても、 一つだけ消せない感情が「嫉妬」なんだそうです。

どんなにえらい坊さんでも嫉妬の感情だけはなかなか退散させる事が出来ないようで、 そもそも「高僧になる」っていう彼らの目標だって 「気高い僧侶がうらやましい」「悟りを開いたお釈迦様がうらやましい」って嫉妬の感情から来ているわけですからね! 嫉妬!それは強い憧れでもある!

『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の石油屋・ダニエル=デイ・ルイスが牧師イーライを憎むのも、 嫉妬の感情からじゃないですか。「あいつは俺と同じくらいのインチキ・ファッキン野郎のくせに、俺と違って周りからちやほやされて超ムカつく!」 「俺には家族がいないのに、あいつは信者たちと擬似家族ごっこをしていて超ウザイ!」。 別に他人さまが何をどうしようが気にせずスルーするのがネットの歩き方なのに (ダニエル=デイ・ルイスは別にネットやってない) (いややってるかも知れないけどこの映画ではやってない)、 放っとけばいい、無視すればいいのに、 ダニエルは必要以上にイーライを憎悪し、侮蔑し、彼のミルクセーキを飲み干そうとします。 何故か! それはミルクセーキを飲んでるイーライがうらやましいからです!

僕も世の中の理不尽な悪行には一年中怒ってますが(小田急の踏み切りが開かないとか、 eプラスの発券手数料がボッタクリ過ぎとか)(ち、小さい…!)、それも「踏み切りに引っかからない運のいい人がうらやましい」 「手数料を気にせずチケットを買うカネモチがうらやましい」 という嫉妬なのでしょう。

嫉妬から生まれる怒り、憎しみの感情をどこかにぶつけてみても、 根本的な解決にならない。 仮にどうにかして小田急の踏み切りやeプラスの手数料問題が解決したとして、 次は「西武新宿線の踏み切りが開かない」「チケットぴあの手数料が高い」と新たな嫉妬が生まれるだけです! 「他人をうらやましがる」という自分の中にひそむ嫉妬心を自分の力で解決しない限り、 同じことは何度でもリピート! 繰り返す!

僕らはいつでも嫉妬に凝り固まっている。金満補強の読売の悪口を言うのも本当は正義感からなんかじゃなく、 「凄い補強をしている読売がうらやましい!」って嫉妬の感情が根元にあるからだし、金持ちになりたいのも、モテたいのも、幸せになりたいのも 「金持ちがうらやましい」「モテモテがうらやましい」「幸せな連中がうらやましい」 っていう嫉妬の感情によるもので、言い換えれば嫉妬は人間を成長させるのはパワーの源でもあるという事です!

「誰かのようになりたい」「誰かを超えたい」という嫉妬心があるからこそ僕たちは前へ進める!嫉妬バンザイ!俺もいっぱい嫉妬することにするよ!
というわけでちょっくらトイレ行って来ます。

いやあ、いっぱいSHITしてきました!(食事中の皆さんごめんなさい)(食事しながらネットするなよ!)


(2012.3.24)

原題There Will Be Blood
邦題ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
公開/製作2008年/アメリカ
出演 ダニエル・デイ=ルイス(ダニエル)、ポール・ダノ(イーライ)
監督ポール・トーマス・アンダーソン

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