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トゥルー・クライム


まあ僕も同じ山形県出身、という事であんまり栗原のことは悪く言いたくないんで、 仮に「プロ野球選手A」としましょう。

A選手が週刊誌をにぎわせたのは二〇〇五年の四月か五月頃。 『週刊現代』によると、新婚ホヤホヤのA選手に、 前年十月に生まれた隠し子がいるというのです(なんだってー!)(あかんやないかクリリン!) (クリリン言うな!)(A選手や!)。

お相手の方は山形県在住、高校時代からの交際相手で、 互いの両親公認のもと六年以上のお付き合いをしていたそうです。 A選手がドラフト、おっと、球団名を言うとバレちゃうから伏せときますね、 ドラフト指名を受けプロ入りし、広島県広島市に引っ越したあとも交際は続きました。
女性は山形から広島に通い、そして妊娠するのですが、 A選手はいつの間にか広島で新しい恋人を作り、山形の彼女はふられてしまうのです。 彼女は一人で子供を産み、A選手は新しい恋人と結婚しました。

えっと、これはあくまで『週刊現代』が書いたことです。 その女の人の言ってることはウソか誇張かもしれないし、 球団もA選手本人もいっさいコメントしてないので、 真相は分かりませんよ。 僕個人の感想としては、基本ベースで事実に沿っているとしても、 女性あるいは編集部の方で相当「盛ってる」と感じています。

A選手の結婚で元カノは相当なショックを受け、少々テンパって攻撃的になり、 A選手を破滅させるために多少「アレンジを加えて大袈裟にした」 という部分はあるかも知れないし、ないかも知れません。 黒田勇樹vs中村瑠衣レベルの盛り込みはむしろあって自然です (あの人たちもすごい盛ってますね!)(夫婦喧嘩で油かけて火をつけたとか言ってましたよ!)。

週刊誌に好き放題書かれたA選手ですが、なぜ反論しないのか。 「そこは違うよ!」「そんなバカな!」「俺にも言い分がある!」 と思ったとしても、 男だから、元カノやその周りの人を傷つけたくないから、口を閉じたのではないでしょうか。
自分はなんと言われようと構わない、 俺が何か喋る事で誰か別の人が傷つくなら、 黙って俺だけ傷つけばいい。 山形の男はそういうところがあるのです。 いや、クリリンがそうだとは言ってませんよ。 山形の男はそういうところがあるのです!

で、そんな騒動があったんですが、 A選手と球団はこの記事を見事にスルーし、週刊誌も後追いをしなかったので、 この話はこれで終わり、 「なかったこと」になりました。 それから二か月くらい経ったある日、スポーツ紙各紙に衝撃記事が出たのです!

    A選手に第一子誕生!

    昨年暮れに広島市内の女性と結婚したA選手に、 七月十三日、待望の第一子が誕生した。

だっ、第一子だってーーーーー!!!?

二年連続、二度目の第一子誕生ですよ! (なかなか出来ることではありません!)

僕はびっくりして目が飛び出さんばかりでしたが、 こういう話、映画界では珍しい事ではないみたいですね。 たとえばクリント・イーストウッド(おっと、偶然にもこっちもクリリンですね) (だからクリリンって誰や!)(A選手です!)。 この人、子供が(分かってるだけで)七人いるんですよ!

  • 1953年 [23歳] <妻1>と結婚
  • 1963年 [34歳] <愛人A>との間の<子供1>生まれる
  • 1968年 [38歳] <妻1>との間に<子供2>生まれる(長男)
  • 1972年 [42歳] <妻1>との間に<子供3>生まれる(長女)
  • 1979年 [49歳] <愛人B>と同棲、<妻1>と別居
  • 1985年 [55歳] <妻1>と離婚
  • 1986年 [56歳] <愛人C>との間に<子供4>生まれる
  • 1988年 [58歳] <愛人C>との間に<子供5>生まれる
  • 1989年 [59歳] <愛人B>と別れる
  • 1993年 [63歳] <愛人D>との間の<子供6>生まれる
  • 1996年 [66歳] <妻2>と結婚、<子供7>生まれる(次女)
  • 1999年 [69歳] 映画『トゥルー・クライム』製作

子供は七人ですが、母親はバラバラ! 正妻の子は三人、四人は隠し子です!(隠してないから隠し子ではないんですが)

そんな下半身にだらしのないイーストウッドが監督・主演をつとめる映画 『トゥルー・クライム』は、イーストウッド演じるエロじじいが、 美人の奥さんや可愛い娘がいるのに、 孫くらい年の離れた若い娘を口説き、手を出し、 いてこまし、浮気しまくって、 相手の旦那さんや自分の奥さんにこっぴどく怒られてショボーンとする話です (お前の実生活やないか!)。

で、この映画に出てくる女検事は実は<愛人D>、 主人公の娘はその愛人との間に出来た<子供6>なんですね。 他にもイーストウッドは映画『人生の特等席』では新米スカウト役に<愛人C><子供4>を使ったり、 『グラン・トリノ』や『インビクタス』では<妻1><子供2>に音楽を担当させたり、 自分の愛人や子供たちを悪びれることなく映画に起用しているのです! (こういう親子関係は素晴らしいですね!)

僕たちは(昭和に見たドラマや漫画の悪影響でしょうか) 生まれたときちょっと普通の家庭と違う事情があると、 それを不幸だと思ったり、「触れてはいけないこと」にしてしまう。 片親の家庭を可哀想だと思い込み、勝手に同情し、 いらぬ気を遣い、見えないところで貼る必要のないレッテルを貼る。

イーストウッドを見てると、 正妻の子だとか隠し子だとか、そんなのどうでもいいことなんだとしみじみ思います。 その人が幸せか不幸かどうかなんて他人が決めることじゃない。
僕は栗原には他人が考える「幸福な家庭」なんか目指さずに、 日本のイーストウッドを目指して欲しいのです! (栗原って誰や!)(名前出すな!)(クリリンのことかーーーーー!!)

(2013.02.15)


原題True Crime
邦題トゥルー・クライム
公開/製作1999年/アメリカ
出演 クリント・イーストウッド(エベレット)、イザイア・ワシントン(フランク)、 ジェームズ・ウッズ(アラン)、デニス・リアリー(ボブ)
監督クリント・イーストウッド

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