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バス男


イエーッ! ダイナマイト! イエーッ! ドッカーン!

この物語の主人公ナポレオン・ダイナマイトは(超クールな名前だぜ!)、 背はスラリと高く(モヤシって言うな)、 髪はふんわり天然ウェーブ(モジャモジャって言うな)、 足も長い(骨ギスって言うな)、 いわゆる草食系メガネ男子(オタクって言うな)、 顏にもこれといった欠陥 (目が四つあるとか)(鼻毛がアゴまで伸びてるとか) (額からニョキッと角が生えてるとか)はなく、 目がふたつ、鼻と口がひとつずつ、 耳もちゃんと二つずつあって、 もうモテ要素満載のイケメン男子です! (「モテ要素満載」と書いただけで「モテる」とは言ってません) (誰もがモテ要素は持ってるんだ!モテないだけで!)

まあ学年に一人いる感じの男子ですね。 クラスに一人いるかいないかは微妙なところです (関東のレフトスタンドにも一人います)(うらなり君と呼ばれています)。

女の子からはダサい・モサい・キショいって思われてるのがナポレオン君ですが、 ファッキン女子向けのティーン雑誌やビッチ女性向けのファッション雑誌に載ってる 「理想の男子像」みたいな寝言が書かれてるコーナーで 十項目中一個(「背が高い」)くらいしか当てはまりそうにないのがナポレオン君ですが、 「こんな男はイヤ!」って項目では十個中ガチで八個は当てはまりそうなのがナポレオン君ですが、 その行動がいちいち 「うわ、これはモテないわ…」 「これは女の子に嫌われるわ…」 って感じなんです!

しかし一方であるカテゴリの男子、 つまり「学生時代まったくモテなかった男子」、 すなわち全国の成人男子の九十パーセントがナポレオン君を見たとき、 「確かにこれはモテない! だけど…お前の気持ち、わかるぜ!」 と思うのです! 「こいつは学生時代のオレだ!」と感情移入出来るのです! (僕は残りの十パーセントだったので分かりませんが) (だからここでウソをつく事に何の意味が!)

学生時代に全くモテなかった九十パーセントの男子はその後、 ファッキン女子向けの雑誌やビッチ女性向けのファッション雑誌、 あるいは「男性向けファッション誌」なる女に媚び売るフヌケ野郎向けの雑誌を読んで、 「モテる男・モテない男」のコーナーを熟読し、 モテたいために涙ながらの努力をするわけですよ! (それでようやく十項目のうち三つくらい満たし、 女の子と付き合えるくらいになるのですが、 残りの七項目がダメと言われてフラれるのです!) (人生はそれの繰り返しです!)

でも、そういう雑誌に載ってる 「モテる男・モテない男」ってのは、 「モテたかったら男はこういう努力をしろ」 っていう、女に都合がいいペットのしつけマニュアルと一緒ですからね。 男はそれと気づかずに、 「なるほど!こうすればモテるのか」 「モテるようになれば女は俺の意のままだぜ」 と果たされることのない夢を見て、 雑誌の言うままに自分を改造していくのです。

ナポレオン君の素晴らしいところは、 そんな「モテるための努力」を一切しないところです! モテない、モテたい、だからといってウソで自分を飾ったりしない! 「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」ですよ! さすが皇帝の名を持つ男・ナポレオン君です!

普通この手の映画って女にモテない、人間的に何処か欠陥のあるオタク男子が、 人間的成長をとげて彼女が出来る、って話になりがちですが、 ナポレオン君は最初から最後までオタクのままです! 人間的成長なんてしません! 世のフヌケ男子はナポレオン君を見習いたまえ! 女にゴマすって媚び売って、犬となってまでモテたいのか!?

ハイ! 僕はモテたいです!(ワンワン!)
女子はモテるために陰でものすごい努力してるんだから、 男だけ何もしないでモテようなんて甘ったれたこと言っちゃダメですよ。 「こんな僕でもいつかありのままを愛してくれる素敵な彼女があらわれる。 ナポレオン君みたいに」って幻想抱いてちゃいけませんよ。 これはあくまで映画です、映画。

(2013.02.08)


原題Napoleon Dynamite
邦題バス男
公開/製作2004年/アメリカ
出演 ジョン・ヘダー(ナポレオン・ダイナマイト)、アーロン・ルーエル(キップ)、ジョン・グリース(リコ)、エフレン・ラミレッツ(ペドロ)、ティナ・マジョリーノ(デビー)、ヘイリー・ダフ(サマー)、 エミリー・ティンドール(トリシャ)、ションドレラ・エイヴリー(ラフォンダ)
監督ジャレッド・ヘス

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