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ボウリング・フォー・コロンバイン


コロンバイン高校の銃乱射事件、 と言っても読者の中にはまだ生まれてなかった人も多いだろうから、 あとこれから生まれて来る人たちのために説明すると、 一九九九年にコロラド州のコロンバイン高校で、 学生二人が校内で銃を乱射、 多数の死傷者を出した事件がありました。 それを題材にしたドキュメンタリー映画が『ボウリング・フォー・コロンバイン』です。

なんで「ボウリング」なんてタイトルがついてるかって言うと、 犯人の少年たちは自殺してしまったので動機とか全然分からなかったわけですが、 当時の米マスコミは 「これは暴力コミックのせいだ!」 「ゲームのせいだ!」 「映画のせいだ!」 「ロックン・ロールのせいだ!」 と石原慎太郎よろしく、世の中の悪いことを現代サブカルチャーのせいにしたんですね。
子供が犯罪に走るのは暴力コミックが悪い! ゲームが悪い! 映画が悪い! 聴いてる音楽が悪い! 新井が悪い!(何でや!新井先生関係ないやろ!)
そしてマイケル・ムーアの取材で、 少年たちが犯行当日の朝にボウリングをしていたことが判明します。そこでムーアは言うのです。
「ボウリングが悪い!」

テレビのコメンテーターとかヒョーロンカとか呼ばれる(あるいは自称する)方は、 事件が起きて「原因は何でしょう?」って聞かれると、 「分からない」って正直に答えてバカだと思われるのがイヤだから、 「これはマンガのせいです!」とか適当なこと言って、 司会者は(何言ってだこいつ)と心の中で嘲笑しながら 「なるほどぉ〜、そうだったんですね〜」と相槌を打つ。 それを見ていたテレビの前の日頃からマンガを好ましく思っていないママたちが 「やっぱりザマス!漫画が悪いんザマス!」 といきり立って都庁に出向き、「石原さん!青少年の犯罪は漫画のせいざますよ! 規制すべきざます!」と陳情、 「わかりました。その代わり次に選挙のときはよろぴく」となる世の中ですよ! 日本もアメリカも一緒です!

で、DVDのコメンタリーでムーアが面白いことを言ってたんですが、 「日本とアメリカでどうして銃による犯罪事件の数が違うのか」 という話になり、 (そんなの日本で銃の所持は禁止されてるから当たり前なんですけど) ムーアが熱弁をふるうんですね。
「日本人は、困っている人がいれば周りの人が助ける。みんなで助け合う。 アメリカ人は困っている人がいても誰も助けない! 自分の事は自分でやれ、と誰も手を差し伸べない。 それが日本とアメリカの違いだ!」

はっはっはっはっは!

いや〜、笑うしかないですね!(笑うとこではない!)(ムーアに申し訳ない!)

でもムーアが、多くのアメリカ人が日本人のことをそんな風に思ってくれてるんだとしたら、 日本はそうならないといけないですね。 困ってる人がいれば周りの人が助ける、みんなで助け合う国民性でありたい。 ムーアをがっかりさせたくないです。 (ムーアはしばらく日本に来ないように!) (電車なんか乗らないように!) (体あたりで割り込み・横入り、 「降ります!すみません降ります!」という人がいても道を開けない、 妊婦やばあさんに席を譲らない、 ベビーカーには舌を打ち、 赤ん坊が泣くとイヤホンのボリュームを音漏れするくらい上げる人たちなど見ないように!)

ムーアのドキュメンタリー映画はアメリカ人が表に出したがらない問題を表に出して来ますが、 日本では日本の恥部を表に出すドキュメンタリー映画がないから、作る人がいないから、 日本人はイメージの中でしか創造されない。 島国育ちで結束が固く、協力し合うのが得意で、 誰もが他人を思いやり、助け合いの精神を持っている。 女は大和撫子、男はサムライ。

はっはっはっはっは!

すまんの! ムーアすまんの!
日本は銃事件とか少ないですけど、オレオレ詐欺・振り込め詐欺は世界一ですよ!

(2013.01.22)

原題Bowling for Columbine
邦題ボウリング・フォー・コロンバイン
公開/製作2002年/アメリカ、カナダ
出演 マイケル・ムーア、マリリン・マンソン、チャールトン・ヘストン、クリス・ロック、 トレイ・パーカー、マット・ストーン
監督マイケル・ムーア

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