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ファミリー・ツリー


主人公はいつものようにジョージ・クルーニーですが! (「いつものように」って何だ) (いや最近俺が観るDVDのジョージクルーニー率高いなと思って) (それはお前の問題だ!)
ジョージの娘の彼氏のシド (「の」を三回使ったのでMS-WORDなら叱られるとことです!) (MS-WORDって他人様に向かって「ここ違ってっから指摘してヤんよ」 ってドヤ顏でツッコミ入れてきますが、 あれ「うっせーよ、わざとやってんだよ」って言い返す機能って無いんですか) (えらそうに波線引きやがってムカつく!) が馬鹿っぽくて実にいい味を出してるんですが、 劇中でちょっと気になる会話がありました。

シドは現代風の若者で、見た目は普通でも喋るとバカがバレるっていう男で、 善良な人達を怒らせてばかりいるんですが、 あんまりバカなのでジョージに「こいつはバカだ!」って言われるんですね。 するとシドは 「…俺の弟はバカだけど、言われたら傷つくよ」 って落ち込むんです



この会話で車内はしーんと静まりかえり、 いたたまれないムードになってジョージが気まずそうな表情で謝ろうとすると、 シドが「なんちゃってー!」っておちゃらけるんですね。

???

意味分かりませんね。「俺の弟はバカだけど」って突然なに? これってどういう意味なんだろう、 と五秒くらい考えましたが、 きっと日本人には分からないツボがあってアメリカ人にはバカ受けなのかな、 とスルーしたんですが、 この映画の他人様のレビュー読んでたら意味が分かりました!

最初にジョージが言った「こいつはバカだ!」ってのは、 英語では“Your friend is completely retarded! (お前の彼氏は知恵遅れだ!)”で、 差別的な言い回しだったんですね!
だからこの会話は、

「こいつは知恵遅れだ!」
「…俺の弟は知恵遅れだけど、言われたら傷つくよ」

という会話だったのです!
それで場が気まずくなって、ジョージは悪い言葉を使った自分を恥じ、謝ろうとしたところで、
「なんちゃってー!(弟なんていないよーん)」
でドッカーン、というギャグだったんですよ!

いやあ、字幕が戸田奈津子さんじゃなかったから油断してました! (戸田先生以外の翻訳家さんでも誤訳ってするんですね!) (いや、このケースは英語の意味は理解した上で意図的に改変したんだから、誤訳じゃないですね。 改竄です!) (誤訳じゃなかった!) (危うく誤訳の女王の名誉を傷つけるとことだった!)

まあでもこういうのは戸田奈津子先生が全面的に悪いわけではなく (何でや!いま戸田先生関係ないやないか!)、 日本語にしにくい翻訳問題ってのはありますね。 「マザ・ファッカ!(=母親とファックする男)」 「サノバ・ビッチ!(=牝犬の息子)」 「バスタード!(=私生児)」 なども日本語ではニュアンスが通じにくい言葉です。

しかし、それがたとえ不謹慎だとしても、 監督が意図的に入れてる限りはそれは作品の一部であり、 意味が分からなくなるくらい原版を修正するのは避けたいものです。
で、僕も翻訳家の気分になって考えてみました!

「お前は脳に障害でもあるのか!」
「…俺の弟は生まれつき脳に障害があるけど、そんな言い方をされたら傷つくよ」

「こいつはアホの坂田よりアホだ!」
「…アホの坂田は僕の叔父です」

「お前はスーパーマンならぬパーマンだ!」
「藤子不二雄って本当そのへんの権利関係とか適当だよね」

などなど幾つか思いつきますが、 いっそのこと放送禁止用語を言わせてピー音をかぶせるのが一番原本に忠実かも知れませんね!

「お前はxxxx(ピー)だ!」
「…それ、日本の映倫通らないでしょ」

(2013.01.16)

原題The Descendants
邦題ファミリー・ツリー
公開/製作2011年/アメリカ
出演 ジョージ・クルーニー(マット)、シェイリーン・ウッドリー(アレクサンドラ)、アマラ・ミラー(スコッティ)、ニック・クロース(シド)、 マシュー・リラード(スピアー)、パトリシア・ヘイスティ(エリザベス)
監督アレクサンダー・ペイン

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