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ノーカントリー


古代エジプトの壁画の文字を解析してみたら 「最近の若い者は」 って書いてあったって秀逸なアメリカン・ジョークがありますけど (むしろエジプト・ジョーク)、 本当最近の若い者はなっちゃいません! (ま、僕も昔は「最近の年寄りはなっちゃいない!」とか言ってましたけどね!) (単に自分以外の世代を否定したいだけや!)

映画『ノーカントリー』は原題を No country for Old men と言って、 「古くさい人間はこの国にはもう居場所はねえ!」って意味です。 自分の理解できない人間が増え始めたらもう俺たちの時代は終わり、 次の人の時代になるってことです! 「最近の若い者は」とか言い始めたら自分たちの時代は終わった、 時代についていけなくなった、 時代の新陳代謝が始まったってことです! ってことはヤバい!俺の時代終わった!(始まってもいませんが)

この映画に出てくる史上最凶の悪役・シガーはその行動思考のすべてが理解不能です! じじいたちには理解できないレベルというか僕にも理解できません! でも考えてみれば、明治時代の人間から見れば平成の人間の思考行動はまあ理解できないでしょう。 平安時代の人間から見れば明治の人間はやはり理解できないでしょう。 原始時代の人間から見れば平安の人間もやはり理解できないと思うのです。
何も生まない、破壊しか行わないファッキン核兵器を国が装備し、ときには発射したり、 カネや宗教をめぐって人が殺しあったり、 そんなの原始人からみれば「最凶最悪だ!」「気が狂ってる!」「到底理解ができない!」 とパニックになるでしょう。 でも現代人は核兵器や戦争や人殺しをある程度許容してしまっている。 推奨はしないまでも完全に否定はしていない。 すべてを否定してしまったら現代社会で生きることが出来なくなるから。 No country for Old men!

理解できない社会をそれでも人々は受け入れ、それが出来なかったものは淘汰される。 たとえそれが明らかに間違った方向だとしても。
古き星野時代を「昔はよかった」と懐かしむドラゴンズファンにとっては、 自分の理解できない采配をする落合監督はシガーだったのでしょう。 だから恐怖を感じた。 そして恐怖の末にシガーを排除してしまいました。 笑っちゃうね!アハハ!
彼ら古い人にとっては、自分が理解できない落合監督を受け入れてしまっては、 自分の居場所がなくなると思ったのです。 No country for Old men!

そしていま高木新体制になって、今度は落合野球に魅了された人たちの居場所がなくなりつつあります。 古い世代と、今の世代、これから来る新しい世代。 俺たちはいつだって「自分の居場所を求めて」戦っている。 向こうに自分の価値観を許容させるのか、自分が向こうの価値観を許容するのか。
落合野球に馴れてしまった人たちは高木新監督の野球を理解し許容できるのでしょうか。 あるいは高木新監督が今のファンの求めてることを理解し許容し歩み寄ってくるのでしょうか。 まだ分かりません。 でも、そのどちらも出来なかったとき、片方の世代の居場所はなくなります。 No country for Old men!


(2012.1.2)

原題No Country for Old Men
邦題ノーカントリー
公開/製作2007年/アメリカ
出演 トミー・リー・ジョーンズ(モス)
ハビエル・バルデム(シガー)
監督コーエン兄弟

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