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追想


現実に起きなかったことも歴史のうちである!

一九四四年六月十日、フランスの田舎町オラドゥールで、 ナチス親衛隊による村人の大虐殺がありました! (これから歴史の勉強をします!) (現実に起こったことです!)

えっと、多分このサイトの読者は小学生が多いと思うので (あるいは精神レベルで小学生の人が多いと思うので) (書いてる俺が小学生レベルだからね!) (うんこうんこ!ちんこちんこ!) (小学生か!)(イエス!)、 まだ学校で世界史を習ってないだろうし、 あるいは習ってたとしても覚えてないだろうから、一から説明しますね! むかし、第二次世界大戦というのがあったんですよ。(そこからか!) (そこからです!)

当時、フランスはドイツの占領下にあり、 ドイツ軍がフランス国内をドヤ顏で歩き回っていて、あちこちの村から物資を略奪したり、 女を犯したりしてたんです! (おい!小学生向けの説明じゃなかったのか!)(そうだった!) (じゃあ「子供を作ったりしてました」に訂正!)(何だかほのぼのした話みたいになった!)

そんなある日、オラドゥールという人口六百五十人ほどの小さな村に、 ドイツ軍が現れます。 村人は全員広場に集められ、 男たちは納屋に、女子供は教会に閉じ込められました。
そして、男連中はナチスの兵隊に銃でハチの巣にされ、 百九十七名が射殺されたのです! (生存者五名)(実話です!)
さらにナチスは女子供を閉じ込めた教会に火をつけます! 焼け落ちる教会から逃げ出す女たち&子供たち!(トム&ジェリーみたいに書くな!)
ナチス兵はそれに一斉に機関銃の雨を浴びせ、 女性二百四十名、子供二百五名が殺されたのです!(生存者一名)(実話です!)

これがフランス史に残る“オラドゥールの虐殺”です。

どうですかお客さん!(誰がお客さんだ)
こんなひどい話ありますか! 読んでるだけでムカムカするでしょう! こんなひどい事やったのドイツだ! (オランダ!) (いやそれじゃ成立しないだろそのギャグ!)

「もうこいつやっちゃうしかねえよ!」
「頭おかしいよナチの連中!」
「滅びろナチス!」
「ナチスの味方してるやつもみんな滅びろ!」
「ナチスの味方してるやつなんているのかよ!?とんだクソ野郎だ!」
「日本とイタリア」
「えっ」

って気分になりますよね!
ファッキン・ナチス! ハイル・ヒトラー!(いやハイルしちゃダメだろ!)

でも、悪いことをすれば必ず天罰が下るもの。
戦争が一九四五年に終わり、 “オラドゥールの虐殺”に加担したドイツ兵士の生き残り二百名は、 軍事裁判にかけられます。 そして二十名が有罪判決を受けましたが、すぐに恩赦で釈放、 一名が終身刑となりましたが、一九九七年に釈放されました。 (おい、待て天罰!) (どこ行った天罰!) (懲役一人だけかよ!) (しかも終身刑なのに釈放されてるし!) (実話です!)

もう何だか、やるせない気持ちですね。ジョイナスやるせなす、とはこの事です。(違います)

無抵抗の女子供を焼き殺す、人でなしの大量虐殺があって、 誰がやったかも分かっているのに、 犯人は牢屋にも入らないで幸せに暮らしている! これでいいのか!
…でも、罪を憎んで人を憎まず。復讐は何も生まない。 みんなで泣き寝入りをすれば、世界は平和なのです!

というわけで、今日はフランスの歴史について勉強しました! 戦争っていやだね!(おわり)



☆   ☆   ☆   ☆



あ、映画の話するのを忘れてました。(『おわり』じゃねえよ!)

映画『追想』は、このファッキン・ナチ連中に愛する妻子を殺された亭主が、 ナチ野郎どもを皆殺しにするって話です!

もちろん史実にはナチスへ復讐したという事実はありません。 虐殺された村人六百四十二名は泣き寝入りのままです。
しかし、現実世界ではなしえなかった復讐を、フィルムの中で果たすのです!

何が「罪を憎んで人を憎まず」だよ! 腰抜けのカマ野郎! チンコついてんのかキリスト!(小学生だから言ってることが低レベルです)
ナチス全員(映画の中で)ぶっ殺しちまえ! っていうのがこの映画、『追想』なのです!

映画でも、小説でも、漫画でも、絵画でも、テレビゲームでも、 創作物は 「現実ではないが、現実だったらいいな」と思うことを実現できる。 そこが素晴らしいんですね!
たとえそれが虚構の世界の物語だとしても、 現実と虚構の違いなんて本当は大差ないのです。
現実世界が正義も真実もないクソ世界なら、 せめて虚構の世界では正義を果たす! それが映画であり、テキストなのです!

(2012.12.07)

原題Le Vieux Fusil
邦題追想
公開/製作1975年/フランス、西ドイツ
出演 ロミー・シュナイダー(クララ)、フィリップ・ノワレ(ジュリアン)、ジャン・ブイーズ(フランソワ)
監督ロベール・アンリコ

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