INDEX

THX1138


レピッシュの『太郎』って歌は、 この国には名前というものがなく人々は番号で呼ばれ管理され何処にも個性がない、 今度ぼくにも子供が生まれるがその名前は最初から“2800-B”と決まっている、 という歌でしたが!(とても怖い歌です!)

で、日本で「国民背番号制」の話が出たとき真っ先にこの『太郎』って曲を思い出しました! 人を番号で管理する、ってまるで刑務所の囚人ですね!
囚人の背中に焼きごてを入れるようなこの「国民背番号制」は、 日本ではいつの間にか「マイナンバー」という名称になって、 二〇一四年から開始されるみたいです! (二年後です!) (再来年から我々は国に番号で管理されるのです!) (『太郎』の歌詞のように!)(奴隷や家畜のように!) (THX1138の世界のように!)

映画『THX1138』は人間が番号で管理された未来社会。 そこでは人々はみな同じ時間に起き、同じ服を着て、与えられた作業を黙々とこなし、 与えられた娯楽(テレビや買い物)を無表情で消化し、 毎日同じ時間に寝ます。
与えられた二人部屋に住み、ルームメイトはコンピュータで選ばれ、 監視カメラで毎日の生活をのぞかれてます。 すべての行動は国に管理され、チェックされている! (日本でもTカード・タスポ・スイカの履歴で、 調べれば誰が何処にいるか分かるようになってますね!) (こわいこわい!)

「監視カメラで生活を覗かれるって、誰も文句言わないの?」
と現代人の私たちは思いますが、 この世界の人々は国から与えられたドラッグを毎日飲んでいて、 クスリの作用で感情が無いのです。 喜怒哀楽がない、いつも冷静で落ち着いてるから工場労働でも失敗しない。 怒りや悲しみがないから争いごとも起きない。
感情がないから、監視カメラも気にならない。
戦争もない、差別もない、貧困もない、理想の世界なのです!

そして国は「消費しましょう〜、消費しましょう〜」 と常に国民に消費を呼びかけています(消費がなければ経済が回りませんからね!) (日本もそんな時期がありましたね!)(今もそうですが!)。
この奇妙な世界にも「町」のようなものがあって (世界は密閉された空間で、人々は巨大な建物の中で暮らしていて、 建物の中に「町」があるのです)、 あちこちに設置されたスピーカーからは常時「消費しましょう〜、消費しましょう〜」 と声が流れています。人々は言われた通りに消費します。
主人公(THX1138)は デパート(みたいなとこ)で何か赤いおもちゃ(みたいなもの)を買い、 家に帰ると、それをゴミ箱に捨ててしまうのです(おい!)。 つまり「消費する」という目的は買い物によって達成されたので、 買った品物はもう用済み、というわけですね。 お前はバーゲンセールで靴や服を大量に買って結局一回も着ないで捨てる独身OLか! >THX1138!

人々は、自分の考えを持たず、感情なく、ただ言われたことに従い、 与えられた娯楽を機械的に消化し、消費のために消費を繰り返す。
これ、本当に「未来世界のお話」なんでしょうか?

商品の内容、優劣、必要性は二の次で、 「消費しましょう〜、消費しましょう〜」 と連呼するスピーカーは 「とにかく球場に来てください!ジョイナス!」 と連呼する何処かの球団のようです。 試合内容は関係なく、とにかく球場に来てお金を消費しろ!それがジョイナスだ!

時間を消費するために与えられたテレビ、 時間を消費するために与えられたゲーム、 お金を消費するために与えられたファッション雑誌。 娯楽は消費のために誰かから支給される。
ディズニーランド、スカイツリー展望台、東京ドームシティ、ショッピングモール、 娯楽を持たない人々のために作られた娯楽施設。 「こうやって遊びなさい」と指示されなければ、 誰かに娯楽を与えられなければ僕たちは土日に何をしていいかさえ分からない!

というわけで、皆さんも今週の週末は「他人から与えられた娯楽に頼らないで」 過ごしてみませんか? 誰かを潤わせるための消費活動を行わずに! 僕たちが誰かに管理・支配されていないことを証明するために! (そして僕たちはNHKやTBSラジオや任天堂やJRAや携帯電話会社やインターネットプロバイダに 娯楽を提供してもらわないと、何ひとつ出来ない、 遊ぶことも出来ないと自覚し、絶望するのです!)

(2012.11.26)

原題THX1138
邦題THX1138
公開/製作1971年/アメリカ
出演 THX-1138:ロバート・デュヴァル(yhx-1138)、LUH-3417:マギー・マコーミー(LUH-3417)、SEN-5241:ドナルド・プレゼンス(SEN-5241)、イアン・ウルフ(PTO)
監督ジョージ・ルーカス

INDEX