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ヤング≒アダルト


「えええええええええええ」って言葉が何度も出てくる『ヤング≒アダルト』は、三十七歳独身で元高校の人気アイドルだったシャーリーズ・セロンが自分の幸せのために痛々しく頑張って最後には幸せを掴むのかなと思ったら「ええええええええええ」となる感涙の物語です!そう、感涙です!感動じゃありません!むしろ悲しみの涙!

映画ってのは基本、始めと終わりでバカな主人公がさまざまな経験を通じて成長する、ってのが王道パタンですよね。 でもこの主人公のバカ女は成長しないんです!バカはバカのままなんです! 映画を観終わったと「ダメだこいつ…」「何も成長していない…彼女を指導しているコーチはいるのか…?」と悲しい気分になるのです。

でも、それってリアルですよね。

「明日から禁酒しよう」「明日から真面目にやろう」「明日から生まれ変わるんだ」 なんて言葉を僕たちはよく口にします。 映画や小説や漫画やオリンピックをみて影響されて、 他人の頑張る姿や元気の出る言葉で「俺も頑張るぞ!」なんてちょっと自分が成長した気になって、「新たなスタート」を切る。「感動をありがとう!俺もがんばるぞ!」 「俺は生まれ変わるんだ!」なんて張り切っちゃって。

でも、そのときは気分でそういう気持ちになるんでしょうけど、 そうそう人間はその本質を変えられるものじゃありませんよね。 昨日までダメだったものが、ちょっとテレビ観て感動したからって、 明日から急に新しい自分になれるわけもありません。 気が付いたときには最初の決意なんか忘れてしまって、元の自分に戻ってる、 あるいは前より悪くなってる。

ダイエットで勢いで痩せてみたものの、いつの間にか自分がダイエットしてたことを忘れて、リバウンドして前より贅肉が増えてブヨブヨになってる、 人生もそんなもんですよ!(僕も今まで何度「生まれ変わった」ことか!) (生まれ変わっては元の自分に戻り、生まれ変わっては元の自分に戻り、その繰り返しです!)(積んでは崩れる賽の河原のように!)

まあ僕もこのテキストは「一日一作品ペースで書くぞ!」と勢いこんで始めたわけですが、 調子のいいときは一日五作品も六作品も書いたり、かと思えば一ヶ月も二ヶ月も全然更新しなかったり、「毎日更新するぞ!」と誓ったあの日は何処へ行ったやら。
「新たなスタート」をそのときは切ったつもりでいるのですが、まるで「もう選手の批判はしない」と言った一週間後には選手の悪口言ってる高木監督のようです! (クライマックス・シリーズもそれで負けましたね!) (三連勝までは「どうせ読売にはかなわない」って言ってたのに、 「勝ちに行く」と言った途端に三連敗です!) (七十一歳のヤング≒アダルト!)

ま、しょせん出来るやつは何やっても出来るし、 出来ないやつは何やっても出来ないってことですよ! (バスケットボールをリングに放り投げる)(外れる)(出来ないのか!俺!)

俺とか映画や小説や漫画や他人の名言を見るたび、 「ああ、俺もこの人たちのように生きたい!」「明日から生まれ変わるぞ!」 「新しい人生のスタートだ!」って思うんですけど(オリンピックでは何も感じません) (「感動をありがとう」とか大会前から横断幕用意してる人たちがうらやましいよ!) (うそ。うらやましくない)(感動することを前提&目的にスポーツを見ている人には共感出来ない)、毎日のように「今日から新たなスタートだ!」ってこの映画の主人公のバカ女のように誓ってますよ! このファッキン・ビッチのクソ女のように!

このファッキン・ビッチは俺です! 全く成長しないバカ女に感情移入、これは俺だ! まったく変わらないのに自分では変わったつもりになってる! その場の勢いで生まれ変わったつもりになってるバカ女!

この映画を観て僕も反省しました! 自分では生まれ変わったつもりになっていても現実は何も変わらない、 成長しないクソガキ! 「ヤング」なんていうとちょっと格好いいけど、ガキなんだよ! 成長しない子供! 「新たなスタート」ってちょっと格好いい言葉に酔いしれてるだけで、 本質が変わらなければ人間なんて変わらないんだよ! そして同じ過ちを繰り返す! 「明日から頑張る」とか言ってみても、それは「明日だけ頑張る」ってことで、 ダメ人間は数日後に元に戻るんだよ!

というわけで、それらの反省を踏まえて、今日から僕も生まれ変わることにしました (その結論はおかしいやろ!)。 まずは一日一テキスト! 明日から頑張るぞ!

(2012.11.12)

原題Young Adult
邦題ヤング≒アダルト
公開/製作2011年/アメリカ
出演 シャーリーズ・セロン(メイビス)、パットン・オズワルト(マット)、パトリック・ウィルソン(バディ)、エリザベス・リーサー(ベス)
監督ジェイソン・ライトマン

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