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デリンジャー


弱虫ペダルのインターハイ決勝三日目のチーム総北のように、 一人、また一人と脱落していくデリンジャー一味! (喩えが分かりにくいよ!『弱虫ペダル』って何だよ!) (週刊少年チャンピオンで連載されている自転車漫画です!) (知らないよ!) (だったらチャンピオン買え!) (チャンピオンはとても面白い漫画雑誌ですよ! ジャンプやマガジンより全然面白いですよ!) (チャンピオンを休刊させないためにもお願いします!)
その誰もが悲しい最期を遂げる! この物語があらわしているのは「銀行強盗時代の終焉」です。

アメリカ映画には時代背景が分からないと分かりにくいものがあって、 アメリカ映画に限らずですけど、 日本映画もそうですけど(何処でもやないか!)、 たとえば日本で「ときは幕末」って言ったら、 何も説明しなくても日本人だったら時代背景は分かりますよね? 外国人が見たら「ナンデ日本人同士タタカッテルンデスカ―?」 「ドウシテ黒船ニビビッテルデスカー?」 「チョンマゲ!チョンマゲ!坂本竜馬チョンマゲシテナイ、ナゼ?」 とか、いちいち説明が必要です!

この映画でも「銀行強盗時代」とは何であるか説明がないので、 ちゃんと調べた僕が説明すると、 ジョン・デリンジャーやボ二―&クライドの活躍した銀行強盗時代ってのがあって (書いてたら三十行くらいになったのでやっぱり説明やめます!)(自分で調べてください!)、 とにかく銀行強盗がヒーローだった時代があったんですよ! (日本で盗んだバイクで走り出すバイク泥棒がヒーローだった時代があったように!)

映画の中で銀行強盗デリンジャーを追うFBIの刑事が、 そのへんで遊んでいた子供と会話するシーンがあるんですね。

「おじさん刑事?」
「そうだ。きみも大きくなったら刑事になりたいか?」
「やだよ」
「どうして?」
「刑事になるためには、学校に行かないといけないんでしょ?」
「おいおい、学校に行かないと立派な大人になれないぞ」
「デリンジャーは学校行かないよ!」

刑事よりも誰よりも、子供たちは犯罪王・デリンジャーに憧れてるんですね! みんなの人気者・デリンジャー!

でも、時代はいつか終わる。
デリンジャー一味は抗い、逃げ出し、生き延びようとするけれども、 時代の流れには逆らえない。 人はいつまでも同じままでは生きられない。

「昔はよかった」という年寄りが時代に取り残され居場所を失うように、 僕らも若いころは「時代遅れのじじいどもが何か言ってるぜ!」なんて言ってましたが、 気が付けば「昔のバラエティ番組ってもっと面白かったよね」 「昔のドラマは内容が濃かったよね」「昔のロック最高!」「昔のプロ野球はほげほげ!」 とか口に出してませんか? 「昔はよかった話」は時代に取り残される危険信号ですよ!

時代に取り残されていく「昔はよかった」が口癖の男たち、 それを描いたのが映画『デリンジャー』ですが、 あともう一つ思ったのは、 「一人、また一人と脱落していく」のは、 それまで仲良く遊んでいた独身グループが、 一人、また一人と結婚して仲間から抜けていく姿にも似てますね。

いつまでも遊んでいたいのに、それは時代が許さない。 永遠のときは続かない。 やがて結婚して、 昔みたいに仲間と遊べなくなって、 好き勝手やってたあの頃の自分は「死」を迎えるんだよ! 時代は終わるんだよ!

だから、結婚とか焦ってしなくていよ!っていうのが『デリンジャー』の言いたいことです! (絶対違う)

(2012.11.22)

原題Dillinger
邦題デリンジャー
公開/製作1974年/アメリカ
出演 ウォーレン・ウォーツ(ジョニー)、ミシェル・フィリップス(ビリー)、ベン・ジョンソン(パーヴィス)、スティーヴ・カナリー(プリティボーイ・フロイド)
監督ジョン・ミリアス

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