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フロム・ダスク・ティル・ドーン


かつて週刊少年マガジンで連載されていたマンガで (まあ僕も昔はマガジンなんて読んでた時期もありましたよ) (若かった!昔の話です、昔の!) (マガジンなんてオカマの読む本ですよ!男はチャンピオンです!)、 伊豫治好という天才が描いた『SHAKE DOWN!』って作品があるんですが!

物語の序盤はよくある学生ヤンキーもので、 主人公二人組はケンカが日課の不良コンビなんですね (『ビーバッブハイスクール』とか『湘南純愛組!』の流れの最下流にある漫画です) (コミックスも全二巻でそんな長くないです)。 前半、元気よく番長を倒したり、四天王が出てきたり、 不良相手に元気よくケンカしてたこのコンビですが、 突然主人公の片方が四天王の一人を刺して少年院に入り、 出所して香港マフィアになるのです! (えっと、話通じてますか?) (通じているとしたらあなたはおかしな人です。 書いてる僕でさえ自分で何を言ってるか分からないのに)

でもそういう話なんです。前半と後半で話が全く別物なのです。 主人公は二人組のコンビだったのに、途中から片方いなくなって、 そんな連れなど最初からいなかったかのように新しい相棒とコンビを組むんですよ。 お前は水谷豊か! (最初の奥さんはミッキー・マッケンジーで) (私生活の方かよ!)

前半と後半で話があまりに違いすぎる、一貫したテーマもなければ伏線も回収もない、 全体のストーリーに脈絡がない、二人組だった主人公の片方が途中から交代する、 最初は中学生の殴り合いだったのが、 最後はマシンガン片手に裏社会で血みどろの殺し合いをしている! それが『SHAKE DOWN!』って話です! (たぶんこの作者ハッパでも決めながら描いてたんじゃないですかね) (担当編集もラリっててよく分かんなかったんだと思います) (講談社の編集長は旅行でもしてたんじゃないですかね、宇宙にでも)

しかしこの作品は、それまで 「漫画はこうあらねばならない」と信じられていた“常識”を根底からひっくり返し、 「ストーリーに脈絡なんか無くてもいいんだ」 「主人公が途中でいなくなってもいいんだ」 「相棒は理由もなくチェンジしてオッケー!」 という斬新なスタイルを提示し 漫画界に革命をもたらしたのです! (残念ながらこの天才はこの作品で消えてしまい、次回作は出ていません) (マガジンは才能を見る目がありませんね!) (チャンピオンで書いてれば今頃「漫画界のタランティーノ」になっていたのに!)

そんな支離滅裂ラリパッパテキトー漫画を久々に思い出させたのがロバート・ロドリゲス監督、 クエンティン・タランティーノ脚本、 ジョージ・クルーニーとタランティーノがダブル主演を務める 『フロム・ダスク・ティル・ドーン』です!

最初は『俺たちに明日はない』的なクールなギャング映画かと思ったら、 途中から話は何故か生首とかバンバン飛び交うスプラッタ・ホラーへ、 おいおい読者ハガキのアンケートが悪くて方向転換でもしたのか! バトル+ラブコメでテコ入れか! 上映途中で「真の戦いは、いま始まったばかりだ! 〜完〜」 とか言って突然ブチッて終わるんじゃないか とハラハラしました! (もちろん主人公の片われであるタランティーノは途中で消えます!)

(2013.01.23)

原題From Dusk Till Dawn
邦題フロム・ダスク・ティル・ドーン
公開/製作1996年/アメリカ
出演 ジョージ・クルーニー(セス)、クエンティン・タランティーノ(リッチー)、 ジュリエット・ルイス(ケイト)
監督ロバート・ロドリゲス

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