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ベンジャミン・バトン 数奇な人生


『ベンジャミン・バトン』ってのはドラゴン・ボールを七個集めたベンジャミンさんとバトンさんが、 神龍に「わしを若返らせてくれっ!」と願ったところ、どんどん若くなっていって終いには赤ん坊になってしまう、 という物語です(違います)(当たらずとも遠からず)(いや遠い)。

ま、ピッコロもフリーザも世界を支配しながら 「年をとって衰える恐怖」に怯えドラゴンボールを集めるわけですけど、 「年をとる恐怖」と別に「若返る恐怖」ってのもあるんですね。 じじいから中年に若返って行くベンジャミンはウキウキしながら若さを楽しんでますが、 若者まで若返ると、「このまま少年になって、もっと小さくなって、赤ん坊になって」 と将来を想像し絶望してしまいます。 ま、子供もじじいも仕事しないで誰かの世話になって生きていくって点では似たようなもんですからね。
そして将来に不安を感じたベンジャミンは子供を捨てて逃げ出してしまうわけですが!

ちょっと待てオイ! おまえ、自分は親から捨てられた捨て子だったくせに、 自分が親になったら同じことすんのかよ! 一年のとき先輩に殴られて二年になって後輩を殴る野球部員か! 俺が諸積だったら「おかしい、こんなことは許されない」って言ってヘッド・スライディングしますよ (諸積というのはロッテの諸積です)!  それどころかこのあとベンジャミンは人妻にベッド・スライディングするんですよ! おかしい!こんなことは許されない!

それにしても、です。 自分が親に捨てられた経験があるのに子供を捨てるとは、どういう神経してるんでしょう。 これはあれですか、「獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす」ように、 自分も捨て子の身分から這い上がったのだから、わが子よお前も這い上がれ! 苦労して一人前の大人になるのだ! というパパなりの教育方針ですか。
っていうか「獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす」なんて都市伝説ですよ! ライオンはそんな児童虐待しません! そもそも草原で暮らす生き物なんで谷とか行きません! そんなこと言ってるの日本人だけです!

そもそもここでいう獅子というのは、ライオンではなく中国の伝説上の聖獣、 獅子舞の獅子ですね。ベンジャミン・ボタンではなく唐獅子ボタンの方です。 日本では江戸時代、 河竹黙阿弥(かわたけ・もくあみ)という人が書いた『連獅子』なる 歌舞伎の演目があって、それに「獅子はわが子を千尋の谷に突き落とす」ってくだりが出てくるみたいで、 そのあたりからライオンと獅子が混同されていったみたいですね。

そしてそれは『読売の星』っていう子供の教育によくない野球アニメで急速に広まります。 星一徹(元読売)って暴力親父が、自分の息子の飛雄馬(後に読売に入団)に対し、 「獅子はわが子を千尋の谷に突き落とすという!」 って言って虐待の限りを尽くしたんで、 そこから「そうか、ライオンは子供を谷底に突き落とすのか」とバカな読売ファンは思い込み、 「それにしてもこれはひどい」 「このひどい父親は元読売の選手か」「読売はひどい」 「読売はろくなもんじゃない」と読売ファン以外の人に伝わっていったのでしょう。 (つまり「悪いのは読売」ってことになります)

ベンジャミン・バトンは自分が父親に捨てられて苦労して育ったのに、 その苦い経験を忘れ、自分の子供に同じ過ちを繰り返してしまうなんて、 これでは「元の木阿弥」です!(キマッタ!)(「元の木阿弥」ってこういう使い方だっけ?)

(2012.8.28)

原題The Curious Case of Benjamin Button
邦題ベンジャミン・バトン 数奇な人生
公開/製作2008年/アメリカ
出演 ブラッド・ピット(ベンジャミン・バトン)、ケイト・ブランシェット(デイジー)、ジュリア・オーモンド(キャロライン)
監督デヴィッド・フィンチャー

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