マカロニ・ウエスタンでは悪いヤツと悪いヤツが戦うわけですが! そんな悪党(と書いて「ワル」)どもにも絶対守るルールってのがあって、 決闘者は必ず正面で向かい合い、 拳銃から手を離し両手を相手に見えるようにだらりと下げます。 そして合図があったところで抜く! スタートの合図は必ず守る! フライングは禁止! はっきり言ってフライングで先に抜いて撃てば100%勝てるのが西部の決闘ですが、 それはしません! なぜなら! それが唯一無二のルールだから! それ以外でどんな卑怯なことしても構いません! クリント・イーストウッドとか凄い卑怯なこといっぱいしてます! でもこの「フライング禁止」のルールだけはきっちり守ります! それが「西部の精霊」と呼ばれる所以でしょう! (ボルトは西部のガンマンにはなれませんね!) 「夕陽のガンマン」だと、 ペンダント型のオルゴールのメロディが「鳴り止んだとき」が合図で、 ♪(音楽)… 鳴り止んだ… ♪(音楽)… いやまだ続いているのか… ♪(音楽)… 鳴り止んだ… ♪(音楽) …あれ、まだ続いてる… 今度こそ… ♪(音楽) …まだあんのかよ… まだ続くのかな… (バキューン!)って感じで、見ていてとてもイライラ、もといドキドキします! こういう西部の決闘の様式美というかお約束は、 日本の時代劇やヒーローものでよくありますね! たとえば「ヒーローが自己紹介をしているときは敵は攻撃しない」とか! 桃太郎侍では桃太郎数え歌(「ひとつ、人より力持ち」とかの)に合わせて、 詩の朗読中は手を出さず、終わったとことで一人ずつ順番に飛びかかっていくのが決まりです! 暴れん坊将軍ならBGMの「暴れん坊将軍のテーマ」が流れて、 節と節の間に上様が刀の向きを替えて握りなおす「シャキーン!」するシーンがありますが、 そのときに攻撃してはいけません! 何故なら! ルールだから! やっぱスポーツはルールあってのスポーツですよ! それ破ったらスポーツがスポーツでなくなるし、野球は野球でなくなるし、 時代劇は時代劇でなくなるし、西部劇は西部劇でなくなります! 『夕陽のガンマン』では「音楽が止まったときがスタート」 というルールを逆手にとって、クリント・イーストウッドが (主人公のくせに) すごい卑怯なことをするのですが、 ルールの範囲内です! 問題ないです! よく「ルールよりスポーツマンシップが大事」っていうバカがいますけど、 「ルールを守ること」がスポーツマンシップです! 個人の好き嫌いでルールを曲げることはスポーツマンシップではありません! ということで、今日は「ルールは大事だよ」という話でした!
(2012.8.29)
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原題 | Per qualche dollaro in piu |
邦題 | 夕陽のガンマン |
公開/製作 | 1965年/イタリア |
出演 | クリント・イーストウッド(モンコ)、リー・ヴァン・クリーフ(モーティマー大佐) |
監督 | セルジオ・レオーネ |