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ビッグ・フィッシュ


イソップ童話に『狼少年』ってありますよね(『狼と羊飼い』『嘘をつく子供』というタイトルの場合もあります)! どんなお話かというと、狼少年ケンこと平野三塁ベースコーチが、 ホームに突っ込んでも絶対アウトのタイミングなのに「行けるぞ!大丈夫だ!突っ込め!」 とウソの指示でランナーを突入して無駄死にさせたり、 外野がもたついて余裕しゃくしゃくで間に合うときに「無理だ!ストップ!間に合わない!」 とウソついてランナーを止め、 最後はおじいちゃんのカミナリと共に二軍に落とされるって話でした! (あまりに平野コーチがウソばかりつくので、 ランナーが得点圏に行ったら応援団が『狼少年ケン』のテーマを流して 平野ケンに抗議行動するようになりました)

うそです。

むかしむかし、あるところに羊飼いの少年がいました。 少年が退屈しのぎに「オオカミが来た!」 と叫んでみたところ、村人が一斉に武器を持って出てきて、村は大騒ぎ。 「プゲラ。ワロス村人」 とそれから少年は毎日毎日「オオカミが来た」と叫び続けました。 しかし村人は、何回か同じことを繰り返すうちにもう少年の言うことを信じなくなり、 少年が何を言っても反応しなくなりました。 そしてある日、村にオオカミがやって来ました。羊飼いの少年は「オオカミが来た!オオカミが来たよ!」 と力の限り叫びましたが、村の羊はすべてオオカミにおそわれ、全滅してしまいました。 めでたしめでたし。

っていうのが『狼少年』の物語です! (こどものころに『まんが世界昔話』で観ましたよね!)
このお話が何を伝えようとしているのかは、非常に明白です。

「ウソでもつき続ければ、いつか本当になる」

ってことですよ!
「信じてれば願いは叶う」と言ったのは元女流棋士の林葉直子でしたが、 羊飼いの少年が「オオカミが来た!オオカミが来た!」と言い続け、 本当にオオカミは来たのです! 願いはかなったのです! これぞアメリカン・ドリームですよ!! (イソップ、アメリカ人じゃありませんが!) (国籍なんて関係ない!)

一方、「人を信じる気持ち」を放棄してしまった疑り深い村人たちは、 天罰がくだり、 すべての羊を失うことになります。

貧乏な村では羊だけが生活の支え。老若男女は路頭に迷い、 あるものは借金地獄に落ち、 あるものは夜の街に娼婦として身を落とし、 子供たちはスラム街のギャングとなって銃と覚せい剤に溺れ、 老人たちは山に捨てられる。
ああ!あのとき少年の言葉を信じなかったばかりに! 自業自得とはいえ、悲しみに胸がつまります!

「信じられぬと嘆くよりも、人を信じて傷つく方がいい」

と武田鉄矢は歌いましたが、 大事なのはそれが本当かウソかなんて事じゃない、 人を信じる心があるかないかということですよ! これはウソをつく人の問題じゃなく、ウソっぽい話を聞いたときの自分の問題なんです! (今までの人生でウソひとつついたことのない純朴な僕がウソを肯定するなんて、 皆さんは不思議な感じがすると思いますが!)

武田鉄也といえば『見ごろ!食べごろ!笑いごろ!』での西田敏行とのコンビでおなじみですが、 その西田敏行が主演した『釣りバカ日誌』のハリウッド版リメイクが 映画『ビッグ・フィッシュ』です!

北極海を暴れまわる体長百メートルの巨大魚を、 釣竿一本で仕留めようとする男の壮大な釣りバトル! クジラをも食い殺すこの巨大魚を果たしてスーさんは釣りあげることが出来るのか! さあ、今すぐ君もレンタルビデオ屋にフィーッシュ!

ウソです!(釣られましたか?)(フィーッシュ!)

(2012.10.9)

原題Big Fish
邦題ビッグ・フィッシュ
公開/製作2003年/アメリカ
出演 ユアン・マクレガー(エドワード青年)、アルバート・フィニー(エドワードおっさん)、 ビリー・クラダップ(ウィル)、ジェシカ・ラング(サンドラ)、 ヘレナ・ボナム=カーター(魔女)、アリソン・ローマン(サンドラ少女)、 マリオン・コティヤール(ジョセフィーン)、マシュー・マッグローリー(大男)、 スティーヴ・ブシェミ(詩人)、ダニー・デヴィート(サーカス団団長)、 ディープ・ロイ(ピエロ)
監督ティム・バートン

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