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デス・プルーフ in グラインド・ハウス


『THX1138』という映画に、迫力満点のカーチェイスがあるんですね。 えっと、その前に『THX1138』ってどういう映画か説明すると(あ、なんか 「もういい」「さっき聞いた」って声が聞こえた気がしたので説明やめます) (未来の性欲処理マシーンの話とかしたかったのに!)

(『THX1138』では) トンネル内をスーパーカーが猛スピードで疾走し、 それを警官の乗ったバイクが追いかけます。 シナリオでは、追いかけるバイクが障害物にタイヤを取られ転倒、 ドライバーは横滑りしてザザザーッ!っと流れていく、という段取りだったみたいですが、 バイクの転倒のタイミングが狂い、 地面を滑るはずのドライバーは空中に投げ出されトンネルの壁に激突!

「大変だ!」

撮影現場は騒然となり、 すぐにスタッフが「おい大丈夫か!」「しっかりしろ!」 と駆け寄ると、 スタントマンは「馬鹿野郎!何で来るんだ!」と怒ったそうです。
「スタントマンが事故ったときは、十秒数えるのが常識だろう!」

スタントマンにとって死ぬより辛いのはカットが本番で使われないこと。 それも命と引き換えに撮ったシーンであれば、 スタッフの影が映ったとかそんな理由でボツになったら死んでも死にきれない、という訳ですね。 もうプロの中のプロというか、ただの基地外です! (「常識だろう」って、知りません!)

さて、そんな話は『デス・プルーフ』とは全然関係ないんですが(ないんかい!)(ないです!)、 監督のタランティーノは 「今はCGばかりで昔みたいなスタントが見られなくなった。 よし!俺がCG無しのすごいスタント映画を作ってやるぜ!」 と言って、『デス・プルーフ』を撮影したんですね。 だからものすごいカーアクションになってます! バイクのドライバーが投げ出され壁に激突するシーンももちろんあります! (もちろん?)(スタッフは当然十秒待ってから助けに行ったでしょう!) (常識です!)

「スタントマン」って響きだけ聞くと「アイアンマン」とか「キン肉マン」 みたいで格好いいですが(正義超人っぽいですよね!)、 インタビュー記事とか読むとやっぱ大変なようで、 何十メートルから落ちたとか、折ってはいけない骨を折ったとか、 死にかけたとか、保険に入れないとか、給料は安いだとかいろいろあるみたいですが、 でもどうにも僕ら一般人から見ると「別世界」のことのように思えて、 今ひとつ現実感がないですよね。 だって友達や親戚にスタントマンの人っていないから!

だから大変な職業であることは分かるんですが、 どう大変なのか実感が湧かない人は多いと思うんですよ。 そんな人のために! スタントマン・スタントウーマンがいかに大変であるかを強烈に感じたインタビューを紹介します! これは『デス・プルーフ』で主役を演じているスタントウーマンのゾーイ・ベルが、 二〇〇四年のインタビューに答えたものです!

質問者「本を読むのは好き?」
ゾーイ「何言ってるの? スタントは字が読めないのよ」

あああっ、それは大変だ!

(2012.11.26)

原題Death Proof
邦題デス・プルーフ in グラインド・ハウス
公開/製作2007年/アメリカ
出演 カート・ラッセル(スタントマン・マイク)、ヴァネッサ・フェルリト(バタフライ)、 シドニー・ターミア・ポワチエ(ジャングル・ジュリア)、ジョーダン・ラッド(シャナ)、 ローズ・マッゴーワン(パム)、ロザリオ・ドーソン(アバナシー)、 ゾーイ・ベル(ゾーイ)、 トレイシー・トムズ(キム)、 メアリー・エリザベス・ウィンステッド(リー)
監督クエンティン・タランティーノ

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